表裏 ページ43
大きな扉前。
【使用中】の看板を無視してノックする。
『相澤先生、入りますよ』
扉を開ければ半開きのカーテンから春特有の陽射しが入り、過ごしやすい暖かさが広がる空間。
部屋の隅に置かれたベッドに視線を移せば横になって眠る彼がいた。
『起きてますか？寝てますか？』
テーブルに移動してベッドの真向かいのソファに座りお昼ご飯を広げる。
相「起きてる…」
『気分は？』
相「最悪…」
『秒飯以外で食べたい物は？』
相「30秒飯なら受け付ける…」
『口に突っ込まれるならパンとおにぎりどちらがいいですか？』
相「……パンで」
『はーい』
購買で買ってきたパンを袋から取り出し、向かい側のテーブルに置く。ゆっくり起き上がる彼を確認して、常備されたポットとインスタントで2カップ分の珈琲の準備。
『その身体だと暫くは本格的に学校泊まりだね。明日着替え持って来るよ。仮眠室の許可書も出しとくから』
相「病院と何にも変わんねぇじゃねぇか…」
『本音を言うなら2､3日でも入院させたいところだけどね。全治何ヶ月の怪我だと思ってんの？設備面でも対応でもここよりずっとマシなんだから、大人しく治療されてて下さい』
相「身体の負担と移動の労力を考えればこっちの方が合理的だ」
『完治を長引かせてる方が不合理の極みだわ』
呆れて溜め息しか出ない。
淹れた珈琲を並べて、私も持って来た弁当に手を付ける。相澤先生も器用にパンを挟んで食べ始めた。
─────
──
彼の額に手を当て、熱がないかだけ確認する。
相「……」
『とりあえず…熱はないね。このまま順調にいけばすぐに治るかな』
体力もあるし、炎症を抑える薬もちゃんと飲ませた。体育祭前後には包帯も取れるだろう。
相「精神科医より、外科医の方が板に付いてきてんな」
『誰かさん達がよく怪我してたお陰でね。応急処置と経過観察だけはすっかり手馴れたよ』
相「いい練習台になってた様で何より」
『嬉しくない』
こつんと額を押す。
誰かが傷付いてるのも慣れないし、慣れたくもない。
ヒーローでも精神科医でも、命の重さを知るには充分な経験だから。
『…早く治してね。いつまでも仕事を任されるのも大変だし、家に居ないのも顔見れないのも、結構寂しいんだよ？』
相「…悪いな…」
頬に手を添えて、目元に触れるだけのキスを送る。
『そう思うならちゃんと休んで下さいね』
最後にそれだけ伝え、仮眠室を後にした。
相「…ずりぃ」
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とよ(プロフ) - 初コメ失礼します。尊い、、尊き、、なにこの幸せおしどり夫婦もう一緒抱きつき合って幸せになっていやがれ！！と心の周波数が乱れ、思わず叫んでしまいました。無理せず更新はいつでも気長に待ってます！この作品大好きです！あと相澤先生もす((((( (2023年3月2日 21時) (
レス) @page49 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - りゅうさん» りゅうさんお久しぶりです！この展開は前々から考えていたシナリオでした。読者の方々が望んでいた物語ではなかったかもしれませんが、もう少しだけ2人の話に付き合って頂けると幸いです。作品を読んでくださりありがとうございます！(*^^*) (2020年3月26日 20時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - _Mikado_さん» _Mikado_さんコメントありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さってありがとうございます！これからもよろしくお願いいたします！ (2020年3月26日 19時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
りゅう - こんばんは！最新話拝見致しました(涙)まさかと思いながら小説を読んでいて自分自身も悲しい思いでいっぱいです… (2020年3月26日 19時) (レス) id: 18e42f338b (このIDを非表示/違反報告)
_Mikado_(プロフ) - 続きたのしみです！更新頑張ってください！ (2020年3月26日 17時) (レス) id: f327cce89d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年3月4日 1時
