大丈夫 ページ41
大人になって初めて、これでもかと泣いた。
涙が枯れ果てるまで、泣き尽くした。
もうこれ以上、傷つかない為に、壊れない為に、心に麻酔を打った。
大人になると皆、良くも悪くも素顔を隠して貼り付けるのが得意になる。
私は、他の人よりそれが上手く出来る人間だった。
リ「チウーーー」
ヒリついた痛みが消えて、代わりに襲うのは全身に鉛を下げた様な疲労感。
『………ありがと、…ございます…。…』
身体が重い…。ベッドの手摺を掴んでふらつかない様に立ち上がる。
リ「全く、あと1日だけでも安静に出来ないのかい。治癒で無理やり退院なんて、普通なら止めてるとこだよ」
『すみません…無理を聞いて頂いて。…何かしてないと、落ち着かなくて』
少ない荷物を鞄に纏めながら、リカバリーガールに笑いかける。
彼女は複雑そうに私を見ていた。
リ「…少しでも無理してるところを見つけたら、すぐドクターストップだからね。イレイザーにもそう伝えときな」
納得してない様子を残しつつ、リカバリーガールは病室を後にした。
彼女には敵わないな…と苦笑を浮かべて、ベッドテーブルに置かれた退院手続きの書類を取り、慣れた手付きで記入していく。
纏め終わった荷物を肩に下げ、書き終わった書類を出しに私も部屋を後にした。
─────
──
2日振りの自宅前。
しんどい身体を引きずって、彼女用に買ったお土産が袋の中で揺れる。
家を空ける事が多いからご飯や水は機械が自動で補給してくれてるだろうけど、ご機嫌斜めどころじゃないよね…きっと。
鍵を開け、意を決して扉をあければ玄関先に座りジト目でこちらを見上げる猫さんの姿。
『ただいま…猫さん』
「……ﾐｧ」
中に入ると、猫さんがいつもより低めに鳴き、荷物を置いて膝を付けばその上に乗り込んで手に勢いよく頭を擦り付けて喉を鳴らす。
『ただいま。遅くなってごめんね』
膝から抱き上げリビングへ移動する。ソファに腰を降ろし背中や頭を撫でていくと、猫さんの顔が近付き、ザラザラした舌で頬や傷痕辺りを一生懸命舐めてくる。
まるで怪我をした子どもを心配するかのように。
『猫さんは本当にいい子だね…』
柔らかく温かい身体を抱き締める。
『大丈夫…。もう泣いたりしないよ』
無かった事にはしない。
有った事にはしない。
この傷は、痛みは、私だけが知っていればいい。
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とよ(プロフ) - 初コメ失礼します。尊い、、尊き、、なにこの幸せおしどり夫婦もう一緒抱きつき合って幸せになっていやがれ！！と心の周波数が乱れ、思わず叫んでしまいました。無理せず更新はいつでも気長に待ってます！この作品大好きです！あと相澤先生もす((((( (2023年3月2日 21時) (
レス) @page49 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - りゅうさん» りゅうさんお久しぶりです！この展開は前々から考えていたシナリオでした。読者の方々が望んでいた物語ではなかったかもしれませんが、もう少しだけ2人の話に付き合って頂けると幸いです。作品を読んでくださりありがとうございます！(*^^*) (2020年3月26日 20時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - _Mikado_さん» _Mikado_さんコメントありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さってありがとうございます！これからもよろしくお願いいたします！ (2020年3月26日 19時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
りゅう - こんばんは！最新話拝見致しました(涙)まさかと思いながら小説を読んでいて自分自身も悲しい思いでいっぱいです… (2020年3月26日 19時) (レス) id: 18e42f338b (このIDを非表示/違反報告)
_Mikado_(プロフ) - 続きたのしみです！更新頑張ってください！ (2020年3月26日 17時) (レス) id: f327cce89d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年3月4日 1時
