変化 ページ20
春が終わりかけ、夏の暑さを感じるようになった頃。
あれから、昼休みになると鞄と弁当を持って校舎裏に行くようになった。
最初は少し躊躇いはしたけど、きっと自分の中でまた誰かと話したい、関わりたい。あの人なら大丈夫かもしれない。そう思えたから関わりから逃げるのをやめた。
向こうも最初は早めに切り上げたり私に干渉しないようにしていた。けど、昼休みになればやってくる私に慣れたのか、気にしなくなったのか、予鈴が鳴るまで居てくれるようになった。
その変化が、私には嬉しくて。学校生活の中で、もう無いだろうと思っていた誰かといる安心と楽しみの時間が出来た。
何より彼は、消太は無個性である私を見下したりバカにしなかった。
『消太は、ヒーロー志望なんだっけ』
昼休みの校舎裏で弁当を広げながら彼と話していた。もちろん、あの黒猫も一緒に。
相「ああ、雄英高校のヒーロー科に進学しようと思ってる」
『あそこのヒーロー科は倍率高いのに、よく目指そうと思ったね』
相「憧れがあるからな」
『…ふーん』
きっと、私には理解出来ない感覚なんだろう。
憧れも何も、個性もヒーローも敵も、嫌いだから…。
今更だけど、消太は3年生、私は1年生と学年が違う。呼び捨ても砕けた話し方も消太がそっちでいいと言ってくれた。
相「それより、お前また傷増やしただろ」
『…、増えてない、消太の気のせいだよ』
相「なら右腕見せろ。動かす度に顔顰めてたの知ってるんだぞ」
『は！？ちょ、…い゛ぃ』
逃げようとした途端に痛みが走って、やむなく消太に捕まり自白せざるを得なくなった…。
最近、喧嘩で負った傷や理不尽に受けた傷なんかを目敏く指摘し始めて、それこそ前に消太の気にする事じゃないって言ったらこっぴどく説教された。
『……帰り道に、喧嘩売られたから…』
相「それで？」
『…深く考えてませんでした』
私の弁明に消太は呆れと御立腹の溜め息。
またお説教が始まると身構えたら、
相「これ以上自分を傷付けるなら、俺はもうここに来ないからな」
『…っ！』
お説教なんかより、ずっと重たくのし掛かる言葉。
衝撃より先に、嫌だと思う自分がいた。
相「嫌なら喧嘩は買わない、自分の身を1番にすること。分かったか？」
『…でも』
相「何かあった時は俺が守ってやるから。約束、できるな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1049人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とよ(プロフ) - 初コメ失礼します。尊い、、尊き、、なにこの幸せおしどり夫婦もう一緒抱きつき合って幸せになっていやがれ！！と心の周波数が乱れ、思わず叫んでしまいました。無理せず更新はいつでも気長に待ってます！この作品大好きです！あと相澤先生もす((((( (2023年3月2日 21時) (
レス) @page49 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - りゅうさん» りゅうさんお久しぶりです！この展開は前々から考えていたシナリオでした。読者の方々が望んでいた物語ではなかったかもしれませんが、もう少しだけ2人の話に付き合って頂けると幸いです。作品を読んでくださりありがとうございます！(*^^*) (2020年3月26日 20時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - _Mikado_さん» _Mikado_さんコメントありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さってありがとうございます！これからもよろしくお願いいたします！ (2020年3月26日 19時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
りゅう - こんばんは！最新話拝見致しました(涙)まさかと思いながら小説を読んでいて自分自身も悲しい思いでいっぱいです… (2020年3月26日 19時) (レス) id: 18e42f338b (このIDを非表示/違反報告)
_Mikado_(プロフ) - 続きたのしみです！更新頑張ってください！ (2020年3月26日 17時) (レス) id: f327cce89d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シュリ | 作成日時：2020年3月4日 1時
