会見 ページ43
「…ﾆｰ」
ﾊﾟﾀﾊﾟﾀと忙しなく尻尾を揺らす姿に、猫さんと呼び掛ける。
『おいで』
膝上に猫さんを乗せ、大丈夫だよと呟きながらその背を撫でていく。けれどそう思いたいのは誰よりも私自身なのだろう。聞こえてくる糾弾の声にTVへ向き直った。
《最悪な事態とは？
26名の被害者と1名の拉致は最悪と言えませんか？》
相《……。私があの場で想定した最悪とは―》
淀んでいく感覚が、画面越しでも伝わってくる。
埃を出そうとするマスコミの攻撃的な質疑。
この結果に誰を責めるべきなのか、誰がその責任を取るのか、そんな事ばかり映しては求めてくる。
《攫われた爆豪くんについても、同じ事が言えますか？》
《未来があると言い切れる根拠を、お聞かせ下さい》
"イレイザーヘッド"を叩くネタを引き出したいだけの言葉に、腹の底から不快な感情が湧き出てくる。
何も知らないくせに。知ろうともしないくせに。
昔も今も、この人達のやる事は変わらない。
相《行動については私の不徳の致すところです。
―ただ…》
相《誰よりも"トップヒーロー"を追い求め…もがいている。
あれを見て"隙"と捉えたのなら、敵は浅はかであると私は考えております》
合理主義の彼らしからぬ感情論。
でも、それが彼の根底だ。
誰よりも彼らを見てきた。そんな彼が生徒を信じるのに、これ以上の理由が必要だろうか。
根《我々も手をこまねいてる訳ではありません─》
『…』
消太は、最後までヒーローとして、彼らの担任として在り続けた。
彼が選んだ選択は、何も間違ってなどいなかったのだろう。
生徒の命も、爆豪くんの在り方も。
彼は全て守り通した。
「ﾆｰ…、ﾆｬｳﾝ?」
満月色の瞳がこちらを見上げる。腕の中から身を乗り出しいつかの退院した時のように、ザラザラする舌で頬を舐める。その様子にくすぐったさや愛おしさを覚えるけれど、今は、ありがとうも大丈夫も言う事は出来なかった。
『……やっぱり…、すごいなぁ…』
私は、小さな命も生徒の夢も、守れなかった。
比べるべきじゃないし、比べるものではない。
世間にどう見られようと、パートナーとして、彼を誇らしく思う。
その気持ちに、嘘はないのに。
『、…ぁあ…』
まだ…まだ痛くない。
まだ、麻酔は切れてない。
胸の奥、心臓の上。
ﾂｷﾘ、ﾂｷﾘと嫌な音を立てる。
音を…立てて…それから…、
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ムツキ(プロフ) - 面白かったです！続き楽しみにしています！ (2022年5月22日 13時) (
レス) id: 82e68addf8 (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - りのさん» りのさんコメントありがとうございます(*^^*)更新遅れてしまいすみません(--;)次回も楽しみにして頂けたら幸いです！ (2021年11月19日 20時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - 更新嬉しいです！これからも頑張ってください！ (2021年11月17日 18時) (レス) @page45 id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - うみさん» うみさんコメントありがとうございます(*´ω`*)続きが楽しみと仰っていただいてとても嬉しいです！更新が遅れていますが、なるべく早く掲載できるように頑張ります！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - すごく面白くて続きが気になります。お忙しいでしょうが更新頑張ってください。楽しみに待っています。 (2021年9月17日 20時) (レス) id: 9b9e486fdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年4月7日 22時
