思い出の中 ページ4
中学生。某日。
夏も佳境に入って、外で過ごすには暑すぎるくらいの真夏日。
そろそろ、というか明日から夏休みが始まる。
『暑い…』
相「夏だからな」
『何で消太は平気そうなの…』
相「鍛えてるから」
『えー…』
私も妹の訓練相手として特訓してるんですが。
ヒーロー志望は鍛え方が違うのかな…。
相「Aは夏休み中どこか出掛けるのか？」
『…外出せずに終わるかな。私が外に出るの、親はよく思ってないから』
「ﾅｰｳ?」
膝上で寛いでいる黒猫の頭を撫でながら、ごめんねと言うしかない。
親は学校に行かせる事すら嫌がってたけど、周りの目と体裁を気にして行かせていると言っていい。
だから休日や長期休みは殆ど外に出ないようにしている。
今年もきっと同じだろう。
相「…そうか」
『？』
気のせいか…消太の声がワントーン落ちた。
人の目を気にして生きてると、良くも悪くもこういったものに敏感になる。
何食わぬ顔をしている消太をチラリと見ると、制服のポッケに折り畳まれたチラシの端が覗いていた。
端っこだけしか見えないけど…、この時期には見慣れた文字。
『お祭り…』
相「、……まぁ、そのなんだ」
私の視線と言葉に気付いて、ポッケからチラシを出して、ん。と渡される。
広げると表紙いっぱいの花火の写真に、開催日時と場所が下の方に載っている。見れば地元で毎年やっているお祭りのチラシだった。
相「来年行けるか分かんないし一応と思ったけど、事情が事情だし、無理して行く必要もないから」
『…予定聞いてたのって、もしかしてこれのため？』
相「……わるいかよ」
ぶっきらぼうな声で言われてそっぽを向かれてしまう。
誘ってくれた驚きより、一瞬胸がぎゅって締まる様な慣れない感覚が走る。私の知ってる不快を感じるものじゃなくて、苦しいのに嬉しい矛盾した感覚。
『夏祭り…、小さい頃に１回しか行ったことないの』
まだ本当に幼い頃、親と手を繋いで回った朧気な記憶。打ち上がる花火や沢山の露店も、もう殆ど薄れてあまり思い出せない。
だから、
『消太と一緒に行きたい、な』
相「…そっか」
『うん』
ぶっきらぼうではなく、普段通りの無気力そうな口調。
でも、よく見ると少しだけ口元が笑っていて…、私は思わず視線を逸らしてしまった。
ただ笑ってる横顔を見ただけなのに、胸がぎゅって苦しくなったから。
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ムツキ(プロフ) - 面白かったです！続き楽しみにしています！ (2022年5月22日 13時) (
レス) id: 82e68addf8 (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - りのさん» りのさんコメントありがとうございます(*^^*)更新遅れてしまいすみません(--;)次回も楽しみにして頂けたら幸いです！ (2021年11月19日 20時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - 更新嬉しいです！これからも頑張ってください！ (2021年11月17日 18時) (レス) @page45 id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - うみさん» うみさんコメントありがとうございます(*´ω`*)続きが楽しみと仰っていただいてとても嬉しいです！更新が遅れていますが、なるべく早く掲載できるように頑張ります！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - すごく面白くて続きが気になります。お忙しいでしょうが更新頑張ってください。楽しみに待っています。 (2021年9月17日 20時) (レス) id: 9b9e486fdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年4月7日 22時
