信用してます ページ14
『ごめんね、いきなりでビックリしたよね』
心「…いえ。リカバリーガールから、先生はここだと聞いたので」
『そっか、とりあえず座って』
しまっていた椅子を出し、どうぞと声をかける。
『あれから背中の痛みはどう？まだ痛むなら湿布貼ったりリカバリーガールに治療してもらうけど』
心「怪我はもう大丈夫です。湿布も貼り替えてるんで」
『なら大丈夫だね』
ひとまず怪我の経過を聞いて安心する。
そんな私をよそに、心操くんは落ち着いた様子で口を開いた。
心「風衹先生は、無個性ですよね」
『はは、直球だね。うん、そうだよ』
いきなりでちょっと驚いたけど、目の前にいる彼にはもう壁は無くなっていた。
心「どうすれば、強くなれますか」
まっすぐ、意志のこもった言葉。
どうして？と聞くのは野暮だろう。少し思考を働かせて別の言葉を探す。
『幾つか質問するけど、いい？』
心「…どうぞ」
背もたれから身体を離し、彼の紫色の瞳と目を合わせる。
『君の言う強くなりたいは、肉体的に？それとも、精神的に？』
心「両方…、です」
『それが今の自分に足りないものだと、欠点だと、心操くんは納得してる？』
弱さや欠点を認められているのか。
認めた上で強くなりたいと言っているのか。
彼が自分とどう向き合っているのか、それが知りたい。
心「納得というより、事実です…。俺は、誰かを守れる強さや、自分を守る術を持ってない。スタート地点にすら、俺はまだ立ててないんです」
淡々と話す彼に、体育祭の時の様な自虐的なものはない。
ただ自分の現実を、冷静に受け止めている。
『なら、最後の質問ね』
強さの方向性も、彼の自分への認識も分かった。
最後に、個人的にこれだけは聞きたい。
『どうして、私だったの？』
ここは雄英だ。
私よりもずっと実力のあるプロヒーローは沢山いる。
ヒーローになりたいなら、学びたいなら私ではなく彼らを頼るべきだ。
それが彼の夢を叶える1番の近道だから。
その上で、なぜ、私の所へ来たのか。
心「担任に、風衹先生の事を聞きました」
『…』
心「無個性でも、強さを知ってる人だって。それに」
今度は彼がまっすぐ私を見つめ、不敵に笑う。
心「頼れって言ったのも、利用しろって言ったのも全部先生だから」
『………ふ、あはははっ、なるほど、』
教師としてこれ程嬉しい理由はなかった。
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ムツキ(プロフ) - 面白かったです！続き楽しみにしています！ (2022年5月22日 13時) (
レス) id: 82e68addf8 (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - りのさん» りのさんコメントありがとうございます(*^^*)更新遅れてしまいすみません(--;)次回も楽しみにして頂けたら幸いです！ (2021年11月19日 20時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - 更新嬉しいです！これからも頑張ってください！ (2021年11月17日 18時) (レス) @page45 id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - うみさん» うみさんコメントありがとうございます(*´ω`*)続きが楽しみと仰っていただいてとても嬉しいです！更新が遅れていますが、なるべく早く掲載できるように頑張ります！ (2021年9月20日 14時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - すごく面白くて続きが気になります。お忙しいでしょうが更新頑張ってください。楽しみに待っています。 (2021年9月17日 20時) (レス) id: 9b9e486fdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年4月7日 22時
