Ep.3 ページ3
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ホームルームが終わるとテヒョンが手招きをして急かすように俺を呼んだ。
「一目惚れってガチ?」
テヒョナは俺を馬鹿にするような口調で言う。
なんだよ、悪いか。
お前だってクラスメイトを可愛いって言ってたくせに。
「どの子なの!どの子なの!」
雪を見た犬のようにはしゃぐテヒョナに
もう少し声のボリュームを下げるように言った。
「俺のこと面白がってんだろ?」
「面白がってない!あ、ジミナ見て、あの子!俺が可愛いって言った子!」
テヒョナの視線の先には
栗毛色でゆるふわの髪の毛がよく似合う背の小さな女の子がいた。
確かに男子ウケは良さそうだけど…
ぶっちゃけ、俺の隣の席の…Aちゃんの方が可愛い。比べ物にならないくらい。
「可愛くない!?」
「んー、うん」
「なにその微妙な反応」
「俺はAちゃんの方が断然可愛いと思う」
「Aちゃん…?あー、ジミナの一目惚れの?」
「うん、そう」
改めて口に出すと急に恥ずかしくなる。
テヒョナはズケズケと質問してくるから
正直答えるのが恥ずかしい、やめてほしい。
「Aちゃんってどんな子なの?」
「どんな子ってほどまだ知らないけど、見た目がお人形さんみたいで、人間離れした顔立ちしてる」
「人間離れ…すげえ。てか、人形って言えばさ、今日ついに人形に人権が与えられたの知ってる?俺びっくりした!」
「知ってるよ。どこも大ニュースじゃん」
「人形はうちの学校にもいるから、他人事にできないよ」
「そうだね、まあ、その人形が誰なのか名前も顔も知らないけど。」
AIが人間を越すと言われて数年が経ち、ある年に日本の研究者が一人の人形を完成させた。
人形に人間の記憶を入れ、肉体も人間そのもの、人間と変わりない人形を作る。
人形には魂が宿ると言われているが、人類はついにそれを形にしてしまったのだ。
難しすぎて、俺には理解できない話だけど。
「で、そのAちゃんはどの子?」
「えっとね…あの子」
探さなくてもすぐに見つかった。
自分の席で静かに読書をするあの子。
横顔が、本当に綺麗だ。
「たしかに、すごい可愛い」
「でしょ!」
「可愛いけど…」
何か言いたげな顔をしながら無言で俺を見つめるテヒョナ。
なに?と聞くと、テヒョナはゆっくりと口を開いた。
「ジミナ、あの子、人形だよ」
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ニンニク - めいさん» 分かります、、ジミンちゃんがどうなったのかも気になりますし、、、 (2020年5月17日 13時) (レス) id: c0f99f9f3e (このIDを非表示/違反報告)
めい - これで終わりですか!? とても面白いので続きが読みたいのですが… もう続きはないですか??? (2018年11月18日 19時) (レス) id: 606c404ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あゆた | 作成日時:2018年4月28日 22時