[バンタン狂愛短編集]

屠所の羊 Ep.20 ページ41

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ホソクはすぐに病院に搬送された。

私とジミンも負傷していたため病院で治療を受けた。






手術を終えた初日の晩に、ホソクがこの世を絶ったことを知らされた。

急死ではなかったがほぼ確実に死亡することが分かっていての治療だったという。





自分でしたことだというのに後悔の念に押し潰された。

自分の犯した罪よりも

ホソクという存在が亡くなったことに対してのショックが大きすぎた。






どうすれば自分は良かったのか。

正しい選択をしたはずなのに その分奪われる代償が大きいことに今更気付いて

いろんな思いが頭の中を混濁し

とてもじゃないが、安定した状態とは言えなかった。





不安定だったのは私だけじゃない。

同じ病院で入院しているジミンと顔を合わすことは何度かあったけど、あの事件からジミンはほとんど喋らなくなった。

ショック状態からまだ回復できていないのだ。

普通の人はこうなるらしく、時間が経てば次第に口数も増えるという。





そして、私の入院室には警察が来るようになったが、逮捕しにきたのではなく、毎回ただの聞き取り調査をされるだけだった。






普通なら傷害罪、または殺人罪に問われるのが当たり前だが、その話は一切出てこないのだ。

その代わり、ホソクが前日の晩に書き残したと思われる遺書の話をされた。

彼は、"自 殺をする"と言う言葉を書き残していたという。





「Aさんもジミンさんも大変だったでしょう？」



何に同情してそんなことを言っているのか知らないが

当日の事について私の解釈と食い違っているのは理解できた。





「彼の自 殺を止めるために、自らの体まで傷つけるなんて、勇敢だと思います」






警察の解釈によると、ホソクが自 殺をすると言い出したから、友人の私たちはそれを止めに入った。

その際に負傷し、さらに誤って刺してしまった。

という扱いになっているのだ。





実際と全く食い違っている。

つまりこれは、ホソクの台本通り。





私が罪に問われないために、わざと嘘の遺書を残したのだ。

表面上は問題なく見える三人だから、まさか三人の中で殺し合いがあった、などと怪しまれることはない。






それに加え、彼は最近身内を亡くしていたこと

ダンススクールでクラスが変わったのもあり友好関係などで精神が乱れていたことなど自 殺の動機はいくらでも考えられる。






嘘の遺書を書いても誰にもバレないのを彼は分かっていた。





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