[バンタン狂愛短編集]

屠所の羊 Ep.7 ページ28

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連絡先がすべて消えただけで独りになった気分。

いや、本当に私の周りの人間は誰一人残っていないのかも、と思い始めてきた。





prrrrrrrr＿＿prrrrrrrr＿＿prrrrrrrr＿＿＿





また突然鳴り響くコール

照明がついたスマホの画面には

無造作に並べられた数字





電話…！





急に気力が戻ったように私はスマホに食いついた




『…っ、もしもし…！』

〈あ、泣いてた…？大丈夫？〉

『…』

〈ん？聞こえてる？〉





声を聞いて、吐き気がした。

電話の主は、あの人しかない。





〈びっくりした？ごめんね、急に知らない番号から電話掛けて。でも大丈夫。もう俺はこの番号しか使わないから〉





もう、嫌だ





〈だから、”ホソク”って登録しといて？〉





逃げられない。

まるで、屠所に入れられた羊のよう。






〈聞こえてる？調子悪いの？そっちに行こうか？〉

『い、いや…！来なくて大丈夫！』

〈…ん、分かった〉





耳からスマホを外すと

通話終了と書かれた文字。





このまま警察に電話しようかと思ったけど

きっとイタズラ電話扱いされる。

証拠がない。

勝手に私が怯えてるだけ。

被害者すら出てない。






もし、今の電話を”脅しの電話”ではなく

”親切に電話を掛けてくれた”と解釈されたら…？





突きつけられた現実から逃げるように布団に入った。

起きたら、全て夢だった良いのに。

恐怖心も全部夢と化して、記憶もどこかに流れればいいのに。





掛け布団をギュッと握った。





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