愛は罪深い.2

sin.56 ページ14

暮人の救出するという言葉に美十と五士は顔を明るくした。
あの冷酷な暮人が殺すのではなく、救出と言うのだから。


『暮人は良いの』
「まあ何でもいい....グレンの捕獲の突撃部隊の指導は＿＿＿」
「捕獲じゃない。これは救出だ」


深夜がそう口にした瞬間、暮人は睨んだ。
そして空気がガラッと変わる。


「あまり、養子の分際でいい気になるなよ、お前」
「僕の扱いだけ酷いよ暮人兄さん、Aちゃんだって養子なんでしょ？」


ヘラヘラと言う深夜に暮人は笑う。


「二医家当主を殺してまでも柊家の者にする程のお父様のお気に入りと、許嫁の真昼から愛想をつかれた用無しのお前。差はハッキリしてるだろ？」
『暮人、今それは関係ないでしょ』
「いや、関係あるさ。自分の立場を理解していない」


暮人は深夜を殺すつもりなのか。
そう感じたAは無意識に深夜を庇おうとする。
しかしそれを察した暮人は尚更ムカつくのだろう。


「いい気になってなんかない。兄さんの怖さは分かってる。でも最後に友達を救わせてくれよ」


深夜は真剣な顔で言った。
いつものヘラヘラとした笑いではない。

そして深夜の言葉の中にある“友達“
Aはその言葉を聞いて1人、真昼を思い浮かべた。

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