伏黒side ページ37
『恵、ボーッとしてどうしたの?任務が終わったとはいえ珍しい』
伏黒「え、あぁ…別に」
有栖院扇が捕らえられて2週間。
Aは特級呪術師になった。
勿論Aは嫌がっていたが、先日の一件で実力が上層部の人間にもバレてしまい、止むを得ずそうなってしまった。
五条先生は勿論反対していた。
特級になったら一緒に任務に行ける可能性が減るだの何だのと夜蛾学長に直談判しに行ったらしい。
伏黒「A」
『ん?』
Aは微笑んで聞き返してくれる。
伏黒「よく笑うようになったよな」
蒼社の家が無くなったというのも大きな要因なんだろうが、それだけが理由だとは、とても思えなかった。
伏黒「五条先生の影響か?」
五条という単語を聞いてAは一度固まってから、まあそうなのかなぁと他人事のように言った。
俺がAにとっての五条先生のような存在になれないのは分かっている。
それでも、もっと俺に出来ることはあったんじゃないかと、こうしていればAに辛い思いをさせなかったんじゃないかと、過去のことについて考える時間が増えた。
今、Aが笑えているのだから、過去のことを考える必要はないけど。
でも。
俺にとってAは、津美紀とはまた違った意味で大切な人。
昔は暇な時間を見つけては、俺や津美紀に会いに来てくれて、色んなところに連れて行ってくれた。
そして口癖のように自由っていいよねと呟いて。
『恵』
伏黒「…?」
『色々難しいこと考えてるみたいだけど』
昔からAには隠し事ができなかった。
『私が今笑ってここにいられるのは恵のおかげだよ』
伏黒「…!いや、それは五条先生じゃ…」
『私が蒼社Aの時、悟が私に優しくしてるとこ見たことある?』
伏黒「それは…ないけど」
口籠もった俺の頭を撫でるAの手は優しい。
『私が辛い時に傍にいてくれたのは悟じゃなくて、恵でしょ。恵がいなかったら、私はきっと壊れてた』
俺はAの言葉に弱い。
今も彼女の言葉を聞いて、先程まで悩んでいたことが馬鹿馬鹿しく思えてきて。
伏黒「そういう扱い止めるんじゃなかったのかよ」
俺の頭を撫でるAの手を掴めば、
『あ、ごめん』
と彼女は笑った。
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よっちゃん - すきすぎたやばいですね。。。。。。別の作品も頑張ってください (2021年2月6日 3時) (レス) id: 7291101692 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます!アリスのことを好きになっていただけて作者は嬉しいです…レネットさんの心を満たせるような小説を書けていたなら心から良かったと思います(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 最初読んだとき、アリスちゃん嫌な奴だな…と思ってたけど最後まで読んだらアリスちゃんを好きになっしまった…。そして七海のハンカチを差し出すという紳士的な振る舞いがカッコよすぎて心が満たされました。面白かったです。ありがとうございます。 (2020年12月31日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ccndayoさん» コメントありがとうございます…!とても嬉しいです。ccndayoさんの好みに合う小説を書けていたなら、良かったです(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月28日 12時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
ccndayo(プロフ) - 読ませて頂きました。もうホントに素敵すぎて途中途中感情移入しちゃって涙が出ました。小説も夢小説もたくさん読んできましたが私のどタイプな内容でした…。素敵な作品をありがとうございます (2020年12月27日 22時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年12月1日 16時