五十四 ページ9
五条side
五条「やっほ〜恵〜!」
ノックもなしに部屋に入れば、案の定Aは恵の部屋にいた。
伏黒「は?!なん……取り敢えず静かにして下さい…っ」
恵は僕を見て一瞬上擦った声を出したけれど、すぐにいつもの調子に戻って注意を促した。
五条「邪魔しちゃった?」
恵の肩に頭を預けて寝ているAを見て態とらしく聞けば、恵は顔を顰める。
伏黒「どうせ態とでしょ」
五条「もちろん。……彼女、泣いてた?」
髪に隠れて見えにくいが、Aの目元は腫れていた。
伏黒「Aのこと嫌いとか言う割にはよく見てますよね、五条先生」
五条「えー?」
伏黒「……今日、結局何があったんですか」
僕の反応に対して深く掘り下げることもなく、何があったのか聞いてくる辺りがとても恵らしい。
五条「恵はAの事情、全部知ってたんでしょ?…彼女の母親、蒼社紅葉が人質のような扱いをされてたことも」
恵は目を見開いた。
五条「…どうやってAが知ったのかはまだ分からないけど、蒼社紅葉は10年前に蒼社家当主によって呪い殺されてた」
伏黒「………は…?」
五条「それを知ったAが蒼社家の人間全員半殺しにしちゃってね」
全員というのは間違いか。
当主は僕が半殺しにしたんだから。
恵は今日起こった出来事に対して理解が追い付いていないらしく、暫く黙ったままだった。
伏黒「じゃあ…Aは…どうなるんですか?」
やっとのことで口を開いた恵の声は震えている。
五条「どうにもならないよ。そこはちゃんと手回ししといたから」
伏黒「五条先生が?」
五条「意外?」
伏黒「…前々から薄々思ってはいましたけど、今回ので確信しました。…五条先生、Aのこと嫌いじゃないですよね」
五条「今更?」
僕の返答が気に食わなかったらしく、恵は“は?”と不機嫌そうに睨んでくる。
五条「Aには内緒だよ?今言ってもAのストレスになるだけだから」
彼女には暫く休息が必要だ。
大切な人間を失った時のAを近くで見た事があるから分かる。
Aにとって、この世界は酷く残酷だ。
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よっちゃん - すきすぎたやばいですね。。。。。。別の作品も頑張ってください (2021年2月6日 3時) (レス) id: 7291101692 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - レネットさん» コメントありがとうございます!アリスのことを好きになっていただけて作者は嬉しいです…レネットさんの心を満たせるような小説を書けていたなら心から良かったと思います(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2021年1月6日 11時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 最初読んだとき、アリスちゃん嫌な奴だな…と思ってたけど最後まで読んだらアリスちゃんを好きになっしまった…。そして七海のハンカチを差し出すという紳士的な振る舞いがカッコよすぎて心が満たされました。面白かったです。ありがとうございます。 (2020年12月31日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ccndayoさん» コメントありがとうございます…!とても嬉しいです。ccndayoさんの好みに合う小説を書けていたなら、良かったです(^^)こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年12月28日 12時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
ccndayo(プロフ) - 読ませて頂きました。もうホントに素敵すぎて途中途中感情移入しちゃって涙が出ました。小説も夢小説もたくさん読んできましたが私のどタイプな内容でした…。素敵な作品をありがとうございます (2020年12月27日 22時) (レス) id: 625a5cfc03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年12月1日 16時