九 ページ10
『お母さん、私もう嫌だよ』
いつだったか、私は耐えきれなくなって母に打ち明けた。
『私に生きてる価値はないとか言っときながら、早く結婚して優秀な子供を産んで五条家の役に立たせろって』
まだ13歳の人間に結婚して子供を産めだなんて気が早すぎるし、勝手にも程がある。
『お母さんも…そうだった?私は望まれてなかった?』
そんな私を母は優しく抱き締めてくれた。
紅葉「そんなことない。Aは私の大事な娘。…だからね、Aが望むならこの家から出て行きなさい」
『…え?』
“この家から出て行く”そんな選択肢があることに驚きを隠せなかった。
『そんなこと…できるの?』
紅葉「私の時はできなかったけど、今ならできる。ちゃんと宛てがあるからね」
そう言ったかと思うと、母は付き人に何かを指示した。
紅葉「うん。これでOK。A、明後日までにここを出る支度をしなさい。くれぐれもバレないようにね」
あまりにもあっさりとした素早い対応に私は困惑する。
『こんなことしていいの?お母さん何もされない??』
蒼社家の術師は、蒼社家の非術師を傷付けてはならない…そんな縛りがある。
だからこそ蒼社家の非術師は私や母に対して傲慢な態度を取れるし、暴力だってできた。
紅葉「大丈夫よ。いざとなったら縛りなんて破って全員焦がしてやるから」
母はやると言ったらやる人だった。
紅葉「Aは心配しなくていいの」
私の頭を撫でる母の手はとても優しかった。
・
?「おい、なんだよあれ」
通話越しでも分かる不機嫌そうな声に私は笑う。
紅葉「アンタにしか頼めないから」
?「……紅葉、お前死ぬ気か?あんなことしてお前の家の人間がタダで済ますとは思えねぇ」
紅葉「殺せないわよ。だって娘が攫われて、私まで死んだら蒼社家の優秀な術師の血を残せないでしょ?」
?「相変わらず策士というか性格悪いな」
紅葉「人のこと言える立場?」
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茜雫 - 書いている世界観が好きで何度も読んでいるので閲覧数の15分の1は私かもしれないです笑 (2020年11月29日 22時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - 茜雫さん» えぇ!前作から見てくださっていたんですか!?ありがとうございます!とても嬉しいです…これからも面白いと思ってもらえるよう、無理せず頑張ります!コメントありがとうございました!! (2020年11月29日 18時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
茜雫 - 初めまして!続きを楽しみに読みながら…何度も読み返してます笑前作同様、とても面白い内容なので、続きが楽しみです!無理せず更新頑張ってください! (2020年11月29日 18時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - いーすとさん» コメントありがとうございます!世界観が好きだと言ってもらえて嬉しいです。前作とは少し違う感じに書きたいなと思っていたので…これからも頑張らせていただきます!!ありがとうございます!! (2020年11月29日 16時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
いーすと - なんか世界観がめちゃ好きです!これからも頑張って下さいね!読み続けます!! (2020年11月29日 15時) (レス) id: e22cc70c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年11月27日 21時