緋色の契り【呪術廻戦】

四十四 ページ45

五条「それで恵、僕に何か用？」




伏黒「いや、AがいるならAに頼むんで大丈夫です」




『…？私に？』




伏黒「あぁ。ちょっと術式の相談に乗ってほしくて」




『分かった。向こう行こうか』





恵は躊躇うことなく私の手を引く。





五条「恵、術式の相談ならそいつより僕の方が向いてると思うんだけど」





急に強い力で引っ張られたと思えば、空いている方の腕を五条悟に掴まれていた。





伏黒「いや、別に簡単な相談なんで」




五条「僕には言えないような相談なの？」





五条悟は笑顔を浮かべているというのに、私の腕を握る手に込められている力は半端なく強い。





伏黒「…何向きになってるんですか」




五条「へ？僕はいつも通りだけど。…強いて言うなら自分の生徒の相談相手が人形だってことが気に入らない」




伏黒「いい加減Aのこと人形だとか言うのやめてください」





冷静だったはずの恵は人形という単語を聞いて顔を顰める。





五条「だって事実じゃん」




伏黒「そもそもAがそんな風になったのは『恵』…でも」





名前を呼ぶだけで彼は全て理解してくれる。



だからこそ何か言いたげな表情をしていた。





虎杖「えっと…五条先生？もし伏黒の相談に乗るなら俺は待ってるけど…」




五条「だってさ。どうする？恵」





恵に視線で相談しなよと訴えかければ、渋々頷いた。





伏黒「…じゃあお願いします」





五条悟は満足そうに頷いて、2人は私と悠仁から距離を取る。





虎杖「あの、Aさん」




『ん？』




虎杖「五条先生とはどういう関係…？もしかして仲悪い…？」





小声で申し訳なさそうに聞いてくる彼に私は笑う。





『五条様は私が仕えている人。仲が悪いというよりは私が一方的に嫌われているだけだね』





最近は蒼社の奴らが偵察しに来ることも減っていた。



理由としては、私が従順になったのだと勘違いしているからだろう。





『バカな奴ら』




虎杖「へ？何か言った？」




『いや、何も』




虎杖「Aさんはさ、五条先生のことどう思ってんの？」




『私？…そんなに深く考えたことはなかったけど…嫌いになりたくてもなれない人…かな』





悠仁は私の答えが意外だったのか驚いていた。

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