四十 ページ41
五条side
Aの本当の気持ちを知ることができるのなら、本当の感情をぶつけてくれるのなら、それが憎悪の類いでも構わないと思った。
だから僕は彼女に毒を吐くことをやめなかったし、優しくしようとも思わなかった。
でも。
『あそこで傑君を助けなかったら、私は本当にただの人形になってしまう。それは嫌なんです』
いつもなら僕の前で表情を変えたりしないAが、寂しそうに笑うのを見過ごすことはできなかった。
五条「だったら!!助けを求めろよ…!辛いって言えよ!!」
『…五条様…?』
Aは驚いたように僕を見る。
いつもは綺麗なだけの緋色の瞳が少し潤んだような気がして。
僕のせいで、五条家のせいでAを自由にできないのは分かっている。
簡単には解決しないことも。
それでも。
辛いなら言って欲しかった。
助けてと縋って欲しかった。
これが自分勝手な我儘だと分かってはいても。
有栖院「許嫁がいるのに浮気?悟」
『……有栖院様』
いつも僕の言葉はAに届かない。
五条「どこからどう見たらこれが浮気になるわけ?君の目は腐ってんの?アリス」
腕を掴んだ程度で浮気になるのなら、世の中の男のまあまあの数が浮気をしていることになるんじゃないだろうか。
有栖院「ひっど。まあそういうところも好きなんだけどさ」
アリスは躊躇うことなく僕の腕を抱く_否、僕と彼女の間にあった無限を抱いた。
彼女に触れられるのはあまり好きじゃない。
有栖院「いつになったら結婚してくれるの?」
わざわざ今する必要のない話をどうしてこの状況で切り出そうと思ったのか理解し難い。
五条「残念だけど、今のところそんな予定はないかな」
付け足すとすればこれから先も。
有栖院「なんで?他に好きな人でもいるの?誰?」
いるよと答えたところでアリスが婚約の話をなかったことにするとは思えなかった。
五条「僕がしつこいの好きじゃないって知ってるよね?僕は君との関係を終わりにしても全然構わないんだけど」
有栖院「……ごめんなさい」
『有栖院様__』
何を思ったのかAがアリスに声を掛けた瞬間のことだった。
有栖院「うるさい!」
アリスの術式がAの頬を掠める。
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茜雫 - 書いている世界観が好きで何度も読んでいるので閲覧数の15分の1は私かもしれないです笑 (2020年11月29日 22時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - 茜雫さん» えぇ!前作から見てくださっていたんですか!?ありがとうございます!とても嬉しいです…これからも面白いと思ってもらえるよう、無理せず頑張ります!コメントありがとうございました!! (2020年11月29日 18時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
茜雫 - 初めまして!続きを楽しみに読みながら…何度も読み返してます笑前作同様、とても面白い内容なので、続きが楽しみです!無理せず更新頑張ってください! (2020年11月29日 18時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - いーすとさん» コメントありがとうございます!世界観が好きだと言ってもらえて嬉しいです。前作とは少し違う感じに書きたいなと思っていたので…これからも頑張らせていただきます!!ありがとうございます!! (2020年11月29日 16時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
いーすと - なんか世界観がめちゃ好きです!これからも頑張って下さいね!読み続けます!! (2020年11月29日 15時) (レス) id: e22cc70c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年11月27日 21時