緋色の契り【呪術廻戦】

十九 ページ20

夜蛾「…急ではあるが傑、Aの任務に同行してくれ」





高専に編入して来た翌日、夜蛾先生は授業が終わった途端にそんなことを言った。





夏油「私が…ですか？」





呪霊操術という珍しい術式を使う彼…夏油傑は少し驚いた様子で夜蛾先生に聞く。





夜蛾「そうだ。初任務はお前と組んだ方がいいと俺が判断した」




『夜蛾先生、申し訳ありませんが私は五条様の』




五条「傑と任務に行けよ。…五条様の命令は絶対なんだろ」




『……分かりました』





五条悟は今朝から少し様子がおかしい。



目に見えて変わったところはない。



依然として私に向ける視線や言葉は冷たいし、私のことを快く思っていないのも変わらない。



ただ何かがおかしい。



長年彼と一緒にいるわけではないけれど、それでも変だと感じてしまう。





『五条様、何かございましたか？様子が…』





彼に何かあっては私の責任だと言われてしまい兼ねない。



私は彼に手を伸ばしたけれど。





五条「気安く触ろうとすんな」




『…すみません』





手は簡単に払われてしまう。





家入「五条、あんたって本当…有栖院先輩以外には冷たいよね」




五条「許嫁とその他大勢への接し方が一緒なわけないだろ。一緒だったらただの女誑しじゃん」




『夜蛾先生、呪霊の等級は』





家入硝子と五条悟の会話を聞き流す。





夜蛾「2級だ。傑がいれば余裕だろう」




『夏油さん、よろしくお願いしますね』




夏油「あぁ」





作った笑みを浮かべる。



彼や、家入硝子に対して普通に接しないのは、高専だと何処で誰が見ているか分かったものではないから。



私は蒼社家のことは全く信用していないし、今後一切する気もない。



奴らの気に触るようなことを話して、自分の首を絞めるのだけは避けなければならない。



逆に高専を出てしまえば言いたい放題というわけだけど。



蒼社の奴らは自分達に力がないと分かっているからこそ、危ない場所には決して赴かない。



だから任務は私にとって好都合だった。





五条「…傑」




夏油「言われなくても分かってる。心配するなよ」




五条「俺は何も言ってないし、心配もしてない」




夏油「そうだな」





彼等にしか分からないであろう会話。



それが羨ましいと思った。

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