二十二 ページ23
夏油side
高専へ戻る道中、頭の中を占めるのは、ここに来る前に悟と話した内容とAのことだった。
夏油(彼女が悟の言っていた人か?)
五条(…そーだよ。なんか別人みたいになっちまってるけどな)
Aが編入してくる以前から私と硝子は彼女のことを知っていた。
過去、悟との間に何があったのかも。
あの悟が惹かれたと、好きだと素直に認めた相手。
夏油(彼女のこと、今も好きなんだろう?)
五条(好き“だった”の間違いだ)
夏油(その嘘は分かり易いな)
本当にその気持ちが過去のものなら、A相手にあんな態度は取らない。
悟のことだから無視を通すに決まっている。
夏油(優しくしてみたらどうだ?彼女が自分の意志で悟の傍にいることを決めたなら、もう突き放す意味もないだろ?)
五条(それがあいつの真意だと俺は思ってない。…それに今更優しくしたって戸惑わせるだけだろ。だったら今のままでいい)
そう言った悟は柄にもなく憂いを帯びた表情をしていた。
夏油(悟は彼女を自由にしたいかもしれない。でも彼女自身がそれを望んでいなかったら?)
五条(それはねぇよ。…似たような環境で育った俺が言うんだから間違いない)
夏油(…そうか。でもやはり私はもう少しAに対する態度を改めるべきだと思う。確かに戸惑わせるかもしれないが、嫌われるよりは好意を持たれていた方が悟もいいはずだ)
五条(好意を持たれる資格なんて俺にはないね)
夏油(悟…)
五条(この話、Aには絶対すんなよ。したら絶交だからな)
夏油(分かったよ)
『…ハム、これあげる』
隣を歩くAは自身の飼っている呪霊に何かを食べさせている。
(Aって名前があるだけの…ただの人形だよ)
彼女は誰かの指示通りに動いていると解釈してもいいんだろう。
ただこれは悟には言えない。
言ってはならないからAは私の質問に答えてくれた。
2人の間にできてしまった溝はあまりにも深すぎる。
お互いが何を思って、どういう状況にあるのか私の口からは言えない。
2人の問題は他人が仲介して解決できるようなものではない。
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茜雫 - 書いている世界観が好きで何度も読んでいるので閲覧数の15分の1は私かもしれないです笑 (2020年11月29日 22時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - 茜雫さん» えぇ!前作から見てくださっていたんですか!?ありがとうございます!とても嬉しいです…これからも面白いと思ってもらえるよう、無理せず頑張ります!コメントありがとうございました!! (2020年11月29日 18時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
茜雫 - 初めまして!続きを楽しみに読みながら…何度も読み返してます笑前作同様、とても面白い内容なので、続きが楽しみです!無理せず更新頑張ってください! (2020年11月29日 18時) (レス) id: e0dca7bd69 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - いーすとさん» コメントありがとうございます!世界観が好きだと言ってもらえて嬉しいです。前作とは少し違う感じに書きたいなと思っていたので…これからも頑張らせていただきます!!ありがとうございます!! (2020年11月29日 16時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
いーすと - なんか世界観がめちゃ好きです!これからも頑張って下さいね!読み続けます!! (2020年11月29日 15時) (レス) id: e22cc70c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2020年11月27日 21時