私を女避けにするな後輩。【呪術廻戦】

8.合同授業だなんてふざけるな ページ8

「おはよぉ〜Aちゃ〜ん」



『おはよう』




五条悟と長く行動しすぎたせいで自分でも少し忘れそうになったが、普段の私は誰がなんと言おうと優等生なのだ。



例えクラスメイトの甘ったるい声が気に入らなくても、私にばかり任務が回されようとも決して怒ることのない大らかな優等生。




「ねぇねぇ、今朝寮の前に五条君来てたよね？私のこと迎えに来てたのかなぁ」




自意識過剰も大概にしろ。えーっと…名前なんだっけ？もう思い出すのも面倒だから花子でいいや。




『かもしれないね、花子さん』



花子？「Aちゃん？私の名前は桜だよぉ？」



私が花子と言ったら花子なんだよ。てか同じ花なんだからいいじゃん。




先生「今日の授業だが、二年と合同で組み手の『先生、体調悪いので医務室に行ってきていいですか？』お、おぉ…大丈夫か…？」



『すみません、すぐ戻ります』




といかにも体調が悪そうなフリをし、教室を出て、少し歩いたところで全力ダッシュ。



今の状況で二年と合同授業だなんて絶対無理。優等生モードを続けられる自信がない。



サボりに対して思うところはあるが、無理して授業に参加し、ぽろっと素が出てしまったら全てが水の泡。



それだけ五条悟は危険なのだ。ムカつきすぎて本音を言ってしまうから。




五条「あっれぇ〜？先輩サボりですかぁ〜？」



『………』




背後から聞こえたよく知る声を無視して一直線に医務室に向かおうとした私の動きを完全に止めたのは、もう一つのよく知る声だった。




夏油「A先輩に限ってサボりなんて有り得ない。悟とは違うんだよ」



五条「でもあの方向にあるのって医務室じゃん」



夏油「医務室に行くからってサボるとは限らないだろ」




傑君のいかにも“先輩は優等生なんだから”アピールが違う意味で心に染みる。というか痛い。



しかもそんな言い方されたらサボるにもサボれなくなってしまう。




『そ、その…合同授業って確か組み手でしょ？誰かが怪我した時のために救急箱とかあった方がいいかなって思って…あはは…』



夏油「ほらね」



五条「本当かねぇ〜？」




“一緒に行きますよ”と隣に並んできた傑君に笑顔を向けながら、“嘘に決まってんだろ、五条悟…！”と思った。

9.→←7.悪夢の方が良かったとか

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す