私を女避けにするな後輩。【呪術廻戦】

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『もう全部…終わったんだよなぁ…』





寮の自室でぽつりと呟く。



傑君が私と五条悟の間に入って、五条悟の意識が一瞬傑君に向いた隙に私は逃げた。



これでいい。



私は何も間違っていない。



だって最初から五条悟は言っていた。



自分が好きな人と付き合えるまで彼女のフリをしろ、女避けになれと。



だから四年の先輩が五条悟に告白することになった今、彼女の役は、私は、もう必要ないのだ。



これで脅されることも、付き纏われることも、休日にデートとは名ばかりの拷問に付き合わされることもなくなる。



なのに。





『………なんでだよ』





なんで今更自分の本当の気持ちに、抱くことのなかった気持ちに気付いてしまったのか。



私は…



私は五条悟を好きになってしまっていたらしい。



完璧とはかけ離れ、性格も良いとは言えない本当の私を知っても、態度を変えるどころか偶に優しくしてくれた五条悟のことが。



でもあいつが好きなのは鳴上麗華であって、私じゃない。



今回別れを切り出したのは私の方だったけど、鳴上麗華が私にあんなことを言わず、直接五条悟に告白していれば、別れを切り出すのは五条悟の方だっただろう。



明日になれば五条悟と鳴上麗華は付き合い、私は私の生活に戻る。



ただそれだけ。



…そういえば失恋した女性は髪を切るんだっけか…と、ふと視線を鏡にやれば、自身の髪はかなり伸びていた。



丁度いい機会かと思った私は、自分の前髪を整えることはあっても、ばっさり切ったことはないのに、鋏に手を伸ばしていた。

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