27. ページ27
なんの前触れもなく押し当てられた唇に、私は先ほどよりも混乱していて、
『っ、…！？ん…っ、ぷはっ！！』
唐突かつ長いキスに呼吸が苦しくなり、口を開けて息をしたのが間違いだった。
五条「は、この状況で口開けるとか本当馬鹿じゃねぇの。俺としては有難いけど」
『！？』
五条「ん…」
『や…っ、ちょ……ふ、ぁ』
五条悟は再度私の口を塞ぎ、先程とは明らかに違う、深いキスに頭が回らなくなる。
身体全体に力が入らなくなり、このままでは腰が抜けてしまいそうなのに何も出来ない。
五条「……あー…もう無理。今まで我慢してたのが馬鹿みてぇじゃん…知らない男にキスされるとかふざけんな」
やっと解放された時にはもう五条悟が何を言っているのかもほぼ分からなくなっていて。
五条「行くぞ」
『待っ……行くって…何処に…？？』
五条「今の俺らにぴったりな場所」
普段の私にならすぐ分かったであろう答えも今は分からない。
何も聞かずにいれば五条悟は私の腕を掴み、そのまま歩き始めるが、このまま五条悟の言う通りにするのは駄目だということだけはぼんやりと分かって、表の通りに出たところで脚を止めれば、五条悟は案の定不服そうな顔で私を見た。
五条「何」
『…嫌。これ以上は…もう無理。帰る』
なんとか言葉を紡いだ私と、私の腕を掴む手に力が入る五条悟。彼が次に何を言い出すのかは想像すら出来なかった。
五条「俺が先輩のこと好きだって言ったらどうする？キス以上のことも許してくれんの？」
『…は……？』
もし五条悟が私のことを好きだったら…？
相変わらず不機嫌そうなことには変わりないのに、五条悟の表情は至って真剣で、茶化すべき場面ではないことだけは分かった。
(だったら俺と付き合えよ。お前のこと知っても後悔なんてしてない)
(お前なんか好きじゃねぇし！馬鹿、阿呆、愚図！！)
『……』
思い返すのは今までの五条悟の発言。
いつもなら即刻拒否するのに今日はそれが出来ず、黙っていれば五条悟は鼻で笑った。
五条「…なーんて有り得るわけねぇだろ。まさか本気にした？だとしたら本当にちょろいな、お前。ただの彼女役にそんなこと言うわけないし。そんなんだから知らない男にキスされんだよ、ばーか」
『やっぱ屑』
公衆の面前で響いたのは、誰かの頬を叩く乾いた音。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 756人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹葉(プロフ) - みかさん» コメントありがとうございます！個人的には不安ばかりで、そんな嬉しいことを言ってくださる方がいるとは思ってもおりませんでした…！ただただ嬉しいです、ありがとうございます！！これからも楽しんでいただけるような小説が書けるよう精進します！！✌️ (2022年2月18日 21時) (
レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - コメント失礼します。完結お疲れさまでした…！！最後の夢主ちゃんの自分の気持ちに気づく描写大好きです…！刹葉さんの書く文章凄く凄く好きで、これからも応援してます！コメント失礼しました〜!! (2022年2月18日 20時) (レス) @page43 id: 38ecdec85a (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - kanameさん» コメントありがとうございます！ひぇぇ…嬉しいです…！このコメントを見て私もニヤけてます(( これからも楽しんでいただけるよう頑張ります(о´∀`о) (2022年2月5日 3時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - 私「先生、ニヤけが止まりません」私｢諦めなさい｣私｢OK｣という脳内会議を毎回してますｗｗｗ更新楽しみにしています！ (2022年2月5日 1時) (レス) @page21 id: 7565f8d7cb (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ちゃんちゃさん» コメントありがとうございます…！更新楽しみにしてくださって本当嬉しいです！性癖に刺さったのなら良かった…期待に応えられるよう、これからも頑張ります！^ ^ (2022年2月1日 21時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：刹葉
| 作成日時：2022年1月27日 15時
