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五条「お前脅されてる立場でよく取引なんて言えたな」
『だって誰かさんは“私に”彼女のフリをさせることに拘ってるみたいだから?別に私じゃなくてもいいのに』
五条「……チッ」
五条悟は非常に不服そうではあったが、舌打ちを零した後に、私の上から退いた。
五条「自分の言ったことくらい守れよ。それと、俺のこと五条悟だとか君とか呼ぶの禁止な。名前で呼び捨てにしろ」
『えぇ〜私気に入ってる人にしかそういうのしたくないんだけど』
五条「………」
『分かった。分かったから、そのどこから取り出したか分からない殺虫剤のノズルを私の顔に向けるのやめたまえ』
殺虫剤を持ち歩いてるってもう驚きを通り越して恐怖でしかないんだがこの男。
五条「傑に言われたこと、真に受けんなよ」
『聞いたの?君…じゃなかった悟と別れろっていうの』
五条「……」
悟と呼んだ瞬間少し動揺したように見えた五条悟は私から視線をふいと逸らす。
五条「女遊びなんてもうしてないし、お前をそういう…体目的とかで見たこともないから」
『ふーん』
五条「なんだよ」
『いや、好きな人に言い訳するみたいだなーと思って』
五条「なっ…?!んなわけあるか!お前なんか好きじゃねぇし!馬鹿、阿呆、愚図!!」
幾ら論外なこと言われたからってそこまで言う?てか悪口のセンスなさすぎでは?幼稚園児かこいつは。
『意外と可愛らしいところもあるんだ、悟。覚えとこ。じゃあ私は部屋に戻ります。あ、傑君に言われたことだけど、取引した以上、フリをやめたりはしないから。お休み』
私は上機嫌で部屋を出た。
珍しいものを見た気がする。五条悟のあたふたする姿は知らなかったし、まさかあんな年相応なところもあるとは。
五条家のおぼっちゃまだからって無意識に他の人とは違うと思っていたのかもしれない。
そうだよなぁ、五条悟もまだ今年で十七だもんな。
『…あれ』
そこで私は今日初めて笑ったことに気付く。あれだけ悩んでいた傑君の言葉もどうでも良くなってしまった自分がいる。
五条悟のおかげかどうかは分からないけど、今度お菓子でもあげようなんて安直なことを思い付いたのだった。
五条「あ〜…クソ…あの鈍感女…いや、まさか気付いてるとかないよな?気付いててあの対応だったら…」
五条悟が恋する乙女の如くベッドの枕に顔を埋めていることなんて知らない。
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刹葉(プロフ) - みかさん» コメントありがとうございます!個人的には不安ばかりで、そんな嬉しいことを言ってくださる方がいるとは思ってもおりませんでした…!ただただ嬉しいです、ありがとうございます!!これからも楽しんでいただけるような小説が書けるよう精進します!!✌️ (2022年2月18日 21時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - コメント失礼します。完結お疲れさまでした…!!最後の夢主ちゃんの自分の気持ちに気づく描写大好きです…!刹葉さんの書く文章凄く凄く好きで、これからも応援してます!コメント失礼しました〜!! (2022年2月18日 20時) (レス) @page43 id: 38ecdec85a (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - kanameさん» コメントありがとうございます!ひぇぇ…嬉しいです…!このコメントを見て私もニヤけてます(( これからも楽しんでいただけるよう頑張ります(о´∀`о) (2022年2月5日 3時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - 私「先生、ニヤけが止まりません」私「諦めなさい」私「OK」という脳内会議を毎回してますwww更新楽しみにしています! (2022年2月5日 1時) (レス) @page21 id: 7565f8d7cb (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ちゃんちゃさん» コメントありがとうございます…!更新楽しみにしてくださって本当嬉しいです!性癖に刺さったのなら良かった…期待に応えられるよう、これからも頑張ります!^ ^ (2022年2月1日 21時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作成日時:2022年1月27日 15時