39. ページ39
五条side
鳴上「来てくれて嬉しいです。悟君」
五条「一応なんとなく察してはいるけど、用件はなんですかね、鳴上先輩?だっけ」
○
昨日、俺に煙草を捨てられた腹いせと言わんばかりに耳元で騒ぐ硝子と共に寮へ戻ろうとしていた時分のこと。
家入「五条…あんな趣味あったっけ…?」
と引いた顔で指を差す硝子の視線の先には、金テープやら、フリルやら、取り敢えず目を引くような派手なもので飾り付けされた自身の下駄箱。
「あるわけねぇだろ…」
引き攣った顔でそれらを取り除き、靴を取り出せば、一枚の便箋がはらりと宙を舞って地面に落ちた。
家入「……」
五条「……捨てていいと思う?」
家入「一応読めよ」
○
なんてやり取りがあり、今に至る。
因みに便箋には"明日の朝七時半に校舎の入り口で待っています。鳴上"としか書かれておらず、なんでそんな早い時間に行かなきゃいけねぇんだよとすっぽかしたい気持ちが九割を占めていた。
なのに態々来てやったのはこれ以上状況を悪化させないため。
鳴上「私と付き合っていただきたくて…五条家は御三家ですが、私の家ならば釣り合うとまではいかなくとも、良い関係は築けると思います」
「無理。俺は家柄で付き合う奴決めてるわけじゃねぇから。それに好きな奴いるし」
鳴上「…!!それは二条さんのことですか」
「そーだよ。他にいねぇだろ」
じわじわと距離を詰めてくる四年に嫌悪感を抱きながらも言葉を返す。
夏油「鳴上先輩、おはようございます。あと悟」
笑顔で挨拶をしてきた傑に、取って付けたように俺の名前を出すなよと普段なら言い返せていた。
でもそれが出来なかったのは。
『おはようございます。先輩と五条君』
「…お前それ…なんで…」
綺麗だと思っていた長い髪はばっさり切られて、肩につくかつかないかくらいの長さになっており、俺のことを苗字で呼ぶAに対して戸惑わずにはいられなかった。
『仲がいいのは微笑ましいことですが、二人とも授業に遅れたりしたら駄目ですよ?』
と俺の質問に答えることもなくAは傑の背中を押して校舎の中に入って行こうとするものだから、反射的に腕を掴んでいた。
「おい、なんだよその髪。答えろよ」
『五条君には関係ないよ』
Aはそう言って俺の手を振り解いた。
757人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹葉(プロフ) - みかさん» コメントありがとうございます!個人的には不安ばかりで、そんな嬉しいことを言ってくださる方がいるとは思ってもおりませんでした…!ただただ嬉しいです、ありがとうございます!!これからも楽しんでいただけるような小説が書けるよう精進します!!✌️ (2022年2月18日 21時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - コメント失礼します。完結お疲れさまでした…!!最後の夢主ちゃんの自分の気持ちに気づく描写大好きです…!刹葉さんの書く文章凄く凄く好きで、これからも応援してます!コメント失礼しました〜!! (2022年2月18日 20時) (レス) @page43 id: 38ecdec85a (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - kanameさん» コメントありがとうございます!ひぇぇ…嬉しいです…!このコメントを見て私もニヤけてます(( これからも楽しんでいただけるよう頑張ります(о´∀`о) (2022年2月5日 3時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - 私「先生、ニヤけが止まりません」私「諦めなさい」私「OK」という脳内会議を毎回してますwww更新楽しみにしています! (2022年2月5日 1時) (レス) @page21 id: 7565f8d7cb (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - ちゃんちゃさん» コメントありがとうございます…!更新楽しみにしてくださって本当嬉しいです!性癖に刺さったのなら良かった…期待に応えられるよう、これからも頑張ります!^ ^ (2022年2月1日 21時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹葉 | 作成日時:2022年1月27日 15時