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『…あの…どうなされました?』
悟に連れて来られたのは暫く使われていないような空き教室。
五条「…これについて説明して欲しいんだけど」
悟がそう言って懐から出したのは
『…………マジか』
高専二年時に私、悟、傑、硝子の四人で撮った写真だった。
『凄いですね〜。この人私にそっくりじゃないですか!お名前は?』
五条「A、言ってたよね。自分は十年前に死んだんだって。気付いたら現在にいたって」
『そんな法螺話信じるんですか。先生。そもそも私に何を説明しろっていうんです?』
五条「……僕も硝子もここに写ってる彼女について何も覚えてないんだよ。こんな笑顔で写真を撮るような仲なら、同期なら絶対忘れない筈なのに」
写真が処分されずに残っているのは流石に予想外だった。写真なんて普通は一番最初に処分するだろうに。
五条「Aが言ってたことが事実で、僕らがAのことを忘れているとしたらこの写真についても説明がつくんだよ」
『…もし記憶をなくしていたとして、先生達はそれを思い出したいんですか?』
五条「君は何を知ってる?一体君は…」
その後に続いた悟の言葉はシンプルなもので。
五条「君は誰だ」
『…最初から言ってるじゃないですか。私は輪禍Aだって。それでどうなんですか。先生は忘れた記憶を取り戻したいんですか?』
五条「当たり前だろ。この写真に写っている彼女が誰なのか知りたいんだよ、僕は」
『そうですか』
その写真に写ってるのは私で間違いないけれど、それを言ってしまったら悟は全部思い出すかもしれない。
悟が思い出したいと願うのなら私は死んでもいいって思った。
思ったけど、あと少しだけ時間が欲しい。
あと一ヶ月だけ。
『私は彼女について何も知りませんよ』
五条「は…?」
『顔はそっくりですけど、世の中には似た顔の人間がいるって言うでしょう?』
五条「嘘つくなよ。A」
『可能性としてあるのは私が写真に写っている彼女と同一人物だということ、そしてもう一つは顔が似ているだけの別人。現実味があるのは後者の方では?』
“だって十年前と姿が変わらないなんて有り得ないですもん”と付け足せば、悟は顔を顰めた。
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緋雪(プロフ) - 大好き過ぎて定期的に見てます泣泣泣 (2023年3月30日 3時) (レス) @page32 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 刹葉さんの作品大好きです!!以前のぶりっ子のお話もとっても好きでしたが、今回のお話の五条先生もとっても好きでした!! (2022年2月10日 18時) (レス) @page32 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
jyjy - ガチ泣きしました…… すっかり作者様のファンです! (2022年1月29日 19時) (レス) @page32 id: 2ce4079fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…。感動しすぎて。作者様は本当に神ですね。どの作品も本当に面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月21日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 泣いてしまいました…! 続編が欲しいと思うのは私だけではないはず! (2021年3月21日 18時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月23日 13時