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五条side
『…なんで私がコオロギ嫌いだって知ってんですか…?教えたことないですよね?』
その言葉を聞いて初めて自分が知り得ないことを知っていたということに気付いた。
Aの言う通り、僕は彼女の嫌いな物なんて知らなくて、知りたいと思っていたところなのに。
なのに自然とAが嫌いなのはコオロギだと思い込んで…
それが見事に的中した。
五条「……僕にも分からない。ここ最近おかしいんだよね。知らないことを知ってるっていうか」
『ここ最近じゃなくてアンタは生まれた時からおかしいんだと思いますよ』
五条「あのね、今一応真面目な話してるからね?」
僕の言葉にAは“つまらん”と吐き捨てる。
五条「…なんか大切なこと忘れてる気がするんだよね。昔からちょっとした違和感は感じてたんだけどさ。ここ最近その違和感が強くなったっていうか」
『それって言う相手間違えてません?記憶障害なら硝子さん…若しくは脳神経外科等にどうぞ』
五条「A相手だと簡単にムカついちゃうしさぁ」
『単に私が嫌いなのでは。嫌いだとしたら私は泣き喚いて先生と心中します』
五条「Aって僕のこと嫌いなの?好きなの?」
『アイラブユー』
五条「あ、そう」
『冷た』
頬を膨らませて拗ねるAの頭を雑に撫でてから、彼女の言うことも確かに正しいなと思う。
どうしてA相手にこんなこと言ってるんだろう。
Aは学生。
僕が守るべき立場の人間であるというだけで、僕の悩みを解決出来るような力は多分持ってないのに。
《悟ってさぁー?私に相談しすぎじゃない?私お悩み相談窓口じゃないよ?》
五条「!!」
『先生?』
五条「A、やっぱり僕ら何処かで___」
『会ったこともないし、話したこともないですよ。他人の空似では?もし会ったことがあるとしても親しい間柄ではなかった筈ですよ。だって先生は私のこと覚えてないんだもん』
そう言ったAはどこか寂しそうに笑う。
そんな言い方をしたらまるでAの方は僕のことを覚えているように聞こえて___
『私はそろそろ任務に行きますから。それじゃ!失礼しまーす』
《…***が死んだ》
《任務先で運悪く特級呪霊に___》
五条「っ、A!……絶対死ぬな」
Aは驚いた顔をして、“分かりました”と頷いた。
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緋雪(プロフ) - 大好き過ぎて定期的に見てます泣泣泣 (2023年3月30日 3時) (レス) @page32 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 刹葉さんの作品大好きです!!以前のぶりっ子のお話もとっても好きでしたが、今回のお話の五条先生もとっても好きでした!! (2022年2月10日 18時) (レス) @page32 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
jyjy - ガチ泣きしました…… すっかり作者様のファンです! (2022年1月29日 19時) (レス) @page32 id: 2ce4079fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…。感動しすぎて。作者様は本当に神ですね。どの作品も本当に面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月21日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 泣いてしまいました…! 続編が欲しいと思うのは私だけではないはず! (2021年3月21日 18時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月23日 13時