最強が浮気しやがった【五条悟】

拒絶 ページ10

(…私五条のこと凄く好きだよ)





(そうかよ)





先日のやりとりが何度も頭の中で再生される。




酒の力を借りたのも事実だけど、私なりに勇気を振り絞って言ったのに。





『素っ気なさすぎじゃん…』





家入「…いい加減浮気のこと聞きなよ。このままだとストレス溜まるだけだぞ。健康にも良くない」





『七海にも似たようなこと言われた。本人がいないところで文句言っても何も解決しないって』





家入「流石七海」





硝子はうんうんと頷いた後、報告書を持って私の対面に座った。





『もう少し前の私なら聞けたと思う。こんな乙女チックじゃなかったし』





家入「何言ってんの。アンタは今も昔も乙女チックじゃないから」





『じゃあ今の私は何…！？』





恋をして少しは乙女に近付いたと思っていたのに、勘違いだったと目の前の親友は報告書に目を通しながら言う。





家入「ビビってるだけでしょ」





『う"っ…ド正論』





家入「Aが一番嫌なのは五条とどうなること？」





『……別れること』





別れてただの友達という関係に戻ってしまうことだけど、もしかしたら友達にすら戻れないかもしれない。





家入「今のままじゃ別れるのも時間の問題だと思うけど。浮気のこと聞いてないのに五条のこと避けちゃってんでしょ。七海に聞いたよ。…五条本人も薄ら気付いてる」





『え…』





家入「この前、最近Aの様子がおかしいし、なんなら避けられてる気がするって相談しに来た」





そうだよなぁ…あの妖怪覚(さとり)みたいな男が気付かないわけないもんなぁ…悟だけに。




うわ、さっむ。





『…分かった、今日聞いてみる』





家入「頑張れ。聞けたら奢るから」





『最近硝子よく奢ってくれるね』





家入「こうでもしないと頑張らないだろ、誰かさんは」





『ご名答』





即答した私に硝子は笑い、“馬鹿”と言った。




私も釣られて笑ってしまい、硝子が親友で良かったなと心底思った。

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