最強が浮気しやがった【五条悟】

◆・ ページ38

五条「お前が俺から離れることも他人を好きになることも許さない」





狂っている。





五条「だからお前がまた俺を好きだって言うまでその拘束は解かない。逆に好きだって言えばすぐにでも解放してやるけど」





『…もうなれない』





五条「は？」





『お前はもう私の好きだった五条じゃない』





なんて言って私はまた嘘をつく。




確かに五条は変わってしまったけれど、それですぐ好きという感情がなくなるのなら私はここまで苦しんでいない。




ただ今の五条に好きだと言いたくないのも事実で。





五条「それ本気で言ってんのかよ、お前」





『そうだよ。私とアンタの関係はもう“終わった”の』





五条「…終わらせない」





『終わらせないじゃなくて終わったって言ってんだよ。五条』





五条「煩い…！」





強引なキスに私は目を伏せる。




不思議といつものような苦しくなる感覚には陥らなかった。





五条「俺にはもう…お前しかいないんだよ…だから…だからお前も僕を愛してよ。僕だけを見ててよ…A…お願いだから」





先程とは違い弱々しく言葉を紡ぐ五条を見て私は漸く気付く。




口調がぐちゃぐちゃになってしまう程には五条の心境も穏やかではないのだということに。





『…無理だよ。そんなこと言うなら最初から浮気なんてしなきゃよかったんじゃん』





五条には五条の理由があったことも、ずっと私を好きでいてくれたことも理解した。




それでも私以外の誰かを選び関係を持った五条とはもう付き合えはしない。




だから自分も苦しむことになると理解した上で離れることを選んだ。





『五条のことなんて嫌いだから』





五条「……そう。…そっか」





立ち上がった五条はそのまま部屋を出て行き、一人取り残された私は拘束を解こうと次こそ術式を使う。




しかし術式が発動することはなかった。




考えられるのは拘束具に特殊な施しがされているということ。




本当に五条は私をここから出す気がない。




五条が何処に行ってしまったのかは分からない。




ただこのまま放置されれば餓死することだけは確かだった。

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