◆もう一つの結末 ページ36
『……あ…れ』
見覚えのない風景に間抜けな声が漏れるが、それは掠れてまともな音にはならなかった。
ここは何処で、なんで私はこんな所で椅子に座っているのかと覚醒して間もない脳を必死に働かせる。
そして目覚めて数分経ったところで体の自由が効かないことに気付いた。
手脚が縄で縛られている。
「おはよう。随分寝てたね」
拘束を解こうと術式を使おうとした瞬間聞いたのはよく知っている声。
『五条……?何が起こってる…?なんでお前までここに…』
拘束されて動けない私と違い五条が拘束されている様子はない。
それどころか五条は自らこの部屋に入って来た。
五条「覚えてない?そんな筈ないだろ。ちゃんと思い出せよ。幾ら馬鹿でも自分のしたことくらい思い出せ」
様子がおかしい五条の指示に従い思い出そうとした私を襲ったのは頭痛。
『…っ…ぅ』
(…私はもう五条とは付き合わないし、京都に行くことをやめもしない。アンタが何をしようがこれは変わらない)
(A…!!)
(煩い。五条のことなんて大っ嫌いなんだよ)
(っ!)
そうだ。
私は五条と離れることを選んで、大嫌いなんて嘘をついて部屋を出た。
出た筈…なのに。
『ここは何処でなんで私は拘束されてる?』
五条「ここが何処かなんてどうでもいいだろ。だってもうお前はここから出ることなんてないんだから」
『は…?』
明るくはない部屋なのに五条の蒼い目だけが何故かはっきりと見えて。
その目は暗い何かを宿しているようにも見えた。
五条「Aが僕の傍から離れるなんて認めない。そんなことさせない」
『ここに私を連れて来たのはお前だってことでいいんだな、五条』
なんとか冷静さを保てている自分に少し安堵し、言葉を続ける。
『名雪の奴らは?あいつらが黙って見過ごすわけがない』
五条「あー…アイツら?邪魔しやがったから殺した」
日常会話をするかのようにあっさり告げられた事実は私の反応を遅らせ、呆然とさせるには十分だった。
『何…言ってんの…?お前…』
目の前にいるのは紛れもなく五条。
なのに中身はまるで別人のような…私の知らない人間だった。
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shyaberuazarashi(プロフ) - やばい解釈一致すぎる…すっきりしたしもう色々最高でした! (12月18日 22時) (レス) @page46 id: e3d211137e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり?★*゚(プロフ) - このくそヤリチン五条許せん、、、!ヒロイン普通に可哀想 (7月24日 11時) (レス) @page31 id: 35bcc8e605 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - いや五がそもそもあありえないけど、別れたって元カノに言ってたよね?あれでよく許せたな (2021年10月25日 5時) (レス) @page46 id: c00755ba92 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん - 何だか最後までヒロイン報われなくて可哀想、、もっとこの糞ヤリチンを徹底的にボコボコにしてあげて欲しかった(笑) (2021年7月3日 8時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
みー - この作品めちゃくちゃ面白かったです!鈴ちゃんが五条先生を殴っててくれて安心しました!(笑)あのまま許してたら私の気が収まらん!!本当に面白かったです! (2021年2月26日 20時) (レス) id: bb74a842ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年1月12日 1時