最強が浮気しやがった【五条悟】

幸せになれるかなんて分からないけど ページ32

自分が泣いてしまったことなんてすぐ分かった。




五条に浮気されたあの日から私は泣いてばかりいる。





五条「初めて会った時は本気で気に入らなくて絶対好きにならないと思ってた。その上コアラ並みに馬鹿だし、変に他人を気遣うし、頑固で素直さの欠片もない」





私も初めて五条に会った時は絶対仲良くなれないと思ったし、硝子に“不仲以上の関係になることはない。もしなったら槍が降る”とまで言った記憶がある。





五条「でもAだけだった。家とか外見とかそんなの一切関係なしに接してくれた奴は」





そんなことを言う五条に“夏油や硝子達だってそうだっただろ”と言おうとしたけれど言えなかった。




五条が言葉を続けたから。





五条「僕に嫌われてないって知って心底嬉しそうに笑ったり、真っ直ぐに僕を見て“ずっと傍にいる”なんて馬鹿げたこと言ったのはAだけだったよ」





何故今このタイミングでそんなことを言うのか。




おかげで涙が止まらない。





五条「まぁ途中で一度失踪しやがったし、なんなら今も僕から離れようとしてるけど」





そうは言うものの五条の声は優しくて。





五条「もう一度言うけど僕はAと別れたくない。特別なことは何も望まない。…だからずっと僕の傍にいて」





なんなんだよ。




コイツも私も。




どうかしている。





『……っ……！…もう最悪…！こんなんじゃ一生お前と別れらんないじゃん…！！』





言い切る前、又は言い切った瞬間によく知る五条の匂いに包まれた。





五条「何当たり前なこと言ってんの。僕は一生お前を離すつもりはないし、僕から離れるなんてこともさせない。……好きだよ、A」





きっと…というか確実に私は馬鹿だよ。




五条が言っている通りコアラ並みの馬鹿。




五条とまた付き合うことでこの先傷付く場面もある筈だ。




それでもこの選択をしたのはどうしようもなく五条が好きで、もう一度信じたいと思ってしまったから。




本当に恋愛感情というものは厄介極まりない。





『私だって好きだよ…』

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