最強が浮気しやがった【五条悟】

嫌いだなんて言えない ページ30

『そんなことになるなら…！他の女とするくらいなら全部言って欲しかった』





五条「…うん。本当にごめん」





五条は私を大切に思っていたからこそ他の女と体の関係を持った。




きっとそれは事実。




こんな局面で嘘をつく程コイツは馬鹿じゃない。




そもそも嘘をつくくらいならここに来たりはしない。




でも。




どうしようもなく苦しい。





『帰って』





五条「嫌だ」





なんとか絞り出すように言った私の願いを五条はあっさり拒絶した。





五条「確かに殴っても殺してもいいって言ったけど、あっさり帰るとは言ってないから」





『話は終わった』





五条「終わってないよ。僕はAと別れたくないし、京都にも行って欲しくない」





『お前が帰らないなら私がこの部屋から出て行く。…私は言ったよ？もう五条と一緒にいたくないって。だから付き合うなんて無理』





本当はそんな理由じゃない。




本当の理由は怖いから。




五条が浮気した原因は私が五条とすることを“恥ずかしいから無理”と言って拒否してきたから。




五条とまた付き合ったとしても私はきっと恥ずかしがらなくなることなんてないし、全てを受け入れられるようになることも絶対ない。




だから五条が再び浮気をしてもおかしくない。




そしてその光景を再度見てしまったらと考えると怖くて。




好きの程度と同じくらい傷付くのが怖いし、あんな気持ちになるのはもう嫌。





五条「…今更僕に本心隠すのやめろよ」





『は…？』





部屋から出て行こうとしていた私は虚を衝くような五条の言葉によって動きを止めてしまう。





五条「一緒にいたくないってなんで？」





『そんなのお前のことがき____』





五条「嫌いだからって理由はなしだよ。だってお前は僕に死ねとか好きにならなきゃよかったとかは言ってたけどさ…僕のことが嫌いだとは一言も言わなかった」





『っ！！』





それが事実で図星だった故に私は言い返せず。





なんでこの男はそんなことにまで気付いてしまうのか。





『そんなの偶然で…』





五条「それは絶対ない。本当に僕のことが嫌いならお前は僕のことを嫌いだって言う筈だ。あの時みたいに」

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