二十九* ページ30
ぐるぐると悟さんの言葉が頭の中を回る。こんな複雑な、釈然としない気持ちが消えないまま数日が経ってしまう。
『大したことない…か』
だったらどうして悟さんは彼女と楽しげに話していたのか。大した関係ではないのなら私には話してくれてもいいんじゃないのか。
そう思ってはいても彼に直接言うことが出来ないのは、私に勇気がないから。
もしそんなことを言って面倒な奴だと思われたら。
二度と関わるなと言われたら。
『………』
悟さんはきっと今も気付いていないんだろう。私がこんな感情を抱いていること。
?「あら?」
『…?あっ…』
悟さんの屋敷に向かう途中に出会ったのは、私の悩みの種の元である薫子さんだった。
薫子「貴方は確か悟の屋敷でよく見掛ける子よね?名前は雅Aさんだったかしら?」
“貴方の話はよく悟から聞いていたから直接話したいと思っていたの”と笑みを浮かべて話す薫子さん。
彼女は元々から綺麗な顔立ちをしていると思うけど、笑うと更に絵になる。
『貴方は薫子さん…ですよね。あの、悟さんとはどういう関係なんですか?』
悟さんのことを“悟”と呼ぶ彼女が悟さんと大したことのない関係だなんて到底思えなくて、私は少し身構えるようにしてから聞いた。
薫子「…?悟から聞いてないの?私と悟は婚約してるのよ」
『……………え…?婚…約…?』
薫子「えぇ」
薫子さんはそれはもう幸せそうに笑う。
婚約。
何が。何が大したことない関係だ。どうしてそんな重要なことを言ってくれなかったの。
悟さんに対しての気持ちが溢れそうになったところで、彼のある言葉を思い出した。
(君が一人でも大丈夫だって確信できるまでは結婚なんてしないから安心しなよ)
『薫子さん』
薫子「どうしたの?」
『悟さんとの婚約は最近決まったことなんですか?』
薫子「いいえ?かれこれ二年以上は経つかしらね…ただ街での悟の扱いが酷かったものだから最近までは正直婚姻しようもなかったんだけど…」
『今はそんなこともないですよね?』
あの瓦版が出回ってからというもの、街で悟さんのことを悪く言う人は殆どいなくなった。
薫子「そうね。だから早く婚姻しましょうって話をしに行ってるんだけど…」
あぁ、そういうことだったんだ。きっとあの時話していたのも今彼女が言った通りの内容だったんだろう。
薫子「でも悟ったら_____」
………悟さんの馬鹿。
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?(プロフ) - 今までで1番好きなお話に出会えて本当に幸せですㅠㅠ感情移入し過ぎて自分までもが懐かしい気分になってしまい不思議な感覚でした笑主様の文章力ありすぎて考察もしやすかったです、がち尊敬です!素敵なお話ありがとうございました🥹💗💗 (3月17日 7時) (レス) id: 0539db3d38 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» ありがとうございます…!次回作も楽しみにしていただければ…!!(o^^o) (2022年1月26日 17時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - 完結おめでとうございます!!!名作すぎるので何度も読み返します笑次回作も楽しみです!! (2022年1月26日 15時) (レス) @page42 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» えねごりらさんコメントありがとうございました…おかげさまで変な終わり方にはなりましたが完結できました…!本当励みになっていたので心からの感謝を申し上げますッ!! (2022年1月26日 1時) (レス) @page42 id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - すれ違ってる…切ないが溢れ出てます!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!更新お疲れ様です(о´∀`о) (2022年1月25日 21時) (レス) @page35 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2022年1月17日 20時