十六* ページ17
『そんなに長い間此処で一人だったんですか』
五条「何言ってんの。僕以外にも人はいるでしょ。だから一人じゃな___」
『貴方からすれば一人も同然だったんじゃないんですか』
五条「………何が言いたい」
悟さんの低くなった声に黒猫は驚いたのか、私の腕から逃げ出して茂みの中に隠れてしまった。それを私は見送って。
『寂しいなって』
五条「馬鹿にしてるの?僕がこうなったのはお前の父親が___」
『知っていますし、馬鹿にしているわけでもありません』
彼の言葉を何度も遮るのは悪い気もしたけど、態々父の話をさせて辛い思いをさせるのも嫌だった。
『……自分だったらこんな所に一人なんて寂しすぎると思ったから。だから悟さんがどうなのかは知りません。自分をこんな目に合わせた人達と離れられて清清していても何もおかしくない』
だとしたらさっきの声や表情は何なのかという話になるけど。
『でも寂しいと思うなら、一人が嫌なら私に言ってください。父のしたことを、過ちを正します』
五条「…!!………君、自分が何言ってるか分かってる?」
『分かっています』
父の過ちを正せば、本当のことを公表すれば、雅家の立場はなくなるし、今まで悟さんに向けられていた負の感情は私達に向くことになるだろう。
『でもおかしな話でしょう?自分がこうなってしまった元凶の娘の病を治すくらい優しい人が、こんな街の外れで一人なのに、嘘偽りを公表した卑怯者が街で最も権力を持っているなんて』
そんなの私は許せませんと悟さんの目を見てはっきり言う。彼がどれだけ辛い思いをしてきたのか私には計り知れないけれど。
五条「僕は優しくなんてない」
『え…』
返ってきたのが罵倒でも私は受け入れようと思っていたのに、予想外の言葉に私は間抜けな声を漏らしていた。
五条「…本当に優しい人間っていうのは君みたいな人のことだと思うよ。他人のことばかり気にしてるけど、君、今の自分の状況分かってる?一年後には死んでるかもしれないんだよ?」
『悟さん、貴方が嫌だと思うのなら私の治療なんてしなくて構わない』
五条「は……?」
『私には貴方に治してもらう資格なんて、権利なんてないんです』
父がしたことは他人事で済ませられることではないのだから。
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?(プロフ) - 今までで1番好きなお話に出会えて本当に幸せですㅠㅠ感情移入し過ぎて自分までもが懐かしい気分になってしまい不思議な感覚でした笑主様の文章力ありすぎて考察もしやすかったです、がち尊敬です!素敵なお話ありがとうございました🥹💗💗 (3月17日 7時) (レス) id: 0539db3d38 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» ありがとうございます…!次回作も楽しみにしていただければ…!!(o^^o) (2022年1月26日 17時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - 完結おめでとうございます!!!名作すぎるので何度も読み返します笑次回作も楽しみです!! (2022年1月26日 15時) (レス) @page42 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» えねごりらさんコメントありがとうございました…おかげさまで変な終わり方にはなりましたが完結できました…!本当励みになっていたので心からの感謝を申し上げますッ!! (2022年1月26日 1時) (レス) @page42 id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - すれ違ってる…切ないが溢れ出てます!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!更新お疲れ様です(о´∀`о) (2022年1月25日 21時) (レス) @page35 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2022年1月17日 20時