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十九* ページ20

五条side



大嫌いな男の娘。



どれだけ取り繕ってもその本質は変わらないと思っていた。きっと解呪をすればあの男と同じように僕を蔑むのだろうと。



なのに。



『でもおかしな話でしょう?自分がこうなってしまった元凶の娘の病を治すくらい優しい人が、こんな街の外れで一人なのに、嘘偽りを公表した卑怯者が街で最も権力を持っているなんて。そんなの私は許せません』



彼女は僕の目を真っ直ぐに見て言った。



散々嫌味を言って、嫌悪を隠そうともしない僕のことを優しいと。



「僕は優しくなんてない」



『え…』



咄嗟に返した言葉に目の前の彼女___雅Aは驚いたようで、何度か瞬きを繰り返す。



僕が優しいのなら、こんな僕一人の為に自分の父親を、家族を糾弾しようとしている君はどうなる?



父親の過ちを正すなんて、そんなことをしてしまえば、雅の人間である君まで後ろ指をさされて生きていくことになるというのに。



「…本当に優しい人間っていうのは君みたいな人のことだと思うよ。他人のことばかり気にしてるけど、君、今の自分の状況分かってる?一年後には死んでるかもしれないんだよ?」



彼女は愚かだ。



本当は一年どころか一月持つかも怪しい状態なのに、今も辛いだろうに笑って、他人のことを考える。



僕が呪いを祓うつもりがなかったことにも気付かずに。



『悟さん、貴方が嫌だと思うのなら私の治療なんてしなくて構わない』



「は……?」



『私には貴方に治してもらう資格なんて、権利なんてないんです』



馬鹿だと心の中で毒づく。本当に権利なんてものが必要ならば、彼女は既に持っている。僕が今まで助けてきた人間達よりもよっぽど。



だから今すぐ祓ってやれば良いはずなのに、捻くれた考えをしてしまう僕は素直にそれが出来なかった。



「…だったら治さない。僕はそれだけ君達のことが嫌いだから。それでいい?」



そんな僕の言葉に彼女はあっさりと頷き、言葉を続けた。



『じゃあ最後に聞かせてください。悟さん、貴方は一人が嫌ですか?』


「最後って…なんで」



治さないと決まったのであればお世話になる意味もないから街に戻ると彼女は言ったので、僕は咄嗟に引き留めていた。



五条「ちょっと待って。僕自身は確かに治す気はない。でも君がどうしてもって言うなら治す。だから一月経つまでは此処にいて」



彼女のような人には生きていてほしいと、傍にいてほしいと思ってしまったから。

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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?(プロフ) - 今までで1番好きなお話に出会えて本当に幸せですㅠㅠ感情移入し過ぎて自分までもが懐かしい気分になってしまい不思議な感覚でした笑主様の文章力ありすぎて考察もしやすかったです、がち尊敬です!素敵なお話ありがとうございました🥹💗💗 (3月17日 7時) (レス) id: 0539db3d38 (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» ありがとうございます…!次回作も楽しみにしていただければ…!!(o^^o) (2022年1月26日 17時) (レス) id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - 完結おめでとうございます!!!名作すぎるので何度も読み返します笑次回作も楽しみです!! (2022年1月26日 15時) (レス) @page42 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)
刹葉(プロフ) - えねごりらさん» えねごりらさんコメントありがとうございました…おかげさまで変な終わり方にはなりましたが完結できました…!本当励みになっていたので心からの感謝を申し上げますッ!! (2022年1月26日 1時) (レス) @page42 id: 1a2812ca8a (このIDを非表示/違反報告)
えねごりら - すれ違ってる…切ないが溢れ出てます!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!更新お疲れ様です(о´∀`о) (2022年1月25日 21時) (レス) @page35 id: 71d3d1284f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613  
作成日時:2022年1月17日 20時

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