黒 ページ8
んん...
目を開けると視界に映るのは蓮の背中
「...蓮」
名前を呼べば振り返る愛おしい顔
『あ、起きた？』
「ごめん、ソファー占領しちゃった」
『大丈夫、Aが落ちないように俺の背中でガードしてただけだから』
「ありがと」
『だってA寝相悪いじゃん！』
「えー蓮には言われたくない！」
『あはは』
「まだ仕事？」
覗き込むと手には台本
『いや、もうおしまい』
「なんか食べる？」
『うーん、それより一杯だけ飲まない？』
「ん、いーよ」
ソファーから立ち上がりキッチンへ向かう途中に脱ぎっぱなしの洋服と置きっぱなしのカバン...
最近忙しそうだから今日は見逃してあげよう笑
簡単にお酒のおつまみを準備して今度は二人並んでソファーに座る
「明日は早いの？」
『うーん、ボチボチ？』
「ボチボチってそれって早いってことじゃないの？」
『うん、大丈夫。一緒に起きなくていいからね』
「5分おきにアラーム鳴るのに？笑」
『頑張って一回目のアラームで起きるから』
「やっぱ早いんでしょ？早く寝なよ」
『でも最近忙しくてAとゆっくり出来てなかったし』
「でもそれだと蓮の身体が心配」
『うーん、もう少しだけ。ね？』
「えー」
『めっちゃ眉間にシワ寄ってんじゃん！』
「じゃベット行こう！」
『え？』
「ベットで横になりながらおしゃべりしよ！眠くなったらそのまま寝ちゃえばいいし」
『あーそういうこと？Aに誘われちゃったのかと思ったよ』
「は？！違うし！もう！！笑」
パパっと片付けして寝る準備をしてベットに入る
お互い布団に包まって近況を報告し合う
蓮の目がトロンってしてくるから
「もう寝ちゃいなよ」
って言うと蓮の腕が私の首の下に入ってきてぐっと抱き寄せられる
背中に手を伸ばしてポンポンってリズムを刻む
『あー！！』
急に叫ぶ蓮の顔を見上げる
「え？なに？」
『やっぱさ、しない？』
「へ？」
『だってさっきAに誘われちゃったし』
「誘ってないし！笑」
『ダメ？』
「明日も早いんでしょ？疲れてるんだし早く寝た方がよくない？明日、辛くなるよ？」
『疲れてるからしたいんじゃん！それに俺、逆境に強いの知ってるでしょ』
はぁ、もうその顔ズルいなぁ...
近付いてくる蓮の顔に返事の代わりに目を閉じた
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作者名：リラ | 作成日時：2022年10月5日 17時
