付きまとってくる49 ページ15
「アレ?佐々木チャンに若利クンじゃん!何してンの〜?」
教室の扉の前で騒いでいたのに、どうやら天童先輩が気づいたみたいで。
あぁ、そうだ思い出した。この人、すごく有名な人だ。
__牛島若利。
確か、沙羽が目をハートにして追っ掛けてる。
数人のクラスメートとおぼしき人達と廊下に出てきた天童先輩は、「珍しい組み合わせだねェ」と笑った。
………その笑顔は、先程浮かべていたものとは違う。
彼らと私で何が違うのだろう。
どうしてわざわざ表情を作るのだろう。
そんな事を思いながら、口を開いた。
「ちょっと、聞きたいことがあって」
「ンー、俺に?」
「はい」
天童先輩はちら、と牛島先輩に視線をやると、「場所移す?」と私に気を使ってきた。
「……そうしてもらえるとありがたいっすね」
この人と二人きりで話なんて、気が重い以外の何物でもないけど。
でも他人に聞かれていい気持ちのする話ではないし、私は大人しく彼の提案を飲み込むことにした。
天童先輩は1つ頷くと、牛島先輩を見つめてこう言った。
「ってことで、今からちょっとイチャイチャしてくるから!何か用があったんだよネ、部活の時でもいい?」
「あぁ、構わん。俺はコレを渡しに来ただけだ」
ピラ、と制服の内ポケットから几帳面に折り畳まれたプリントのような物を取り出す牛島先輩。
つかちょっと待て、さらっと流すな大問題だ。
私はこんな人とイチャイチャなんてしない。話をするだけだ。
「勝手なこと言わな……」
「あーはいはいコレね。ふぅん……合宿。
オッケー、んじゃね」
「聞けよ」
天童先輩はヒラヒラと手を振って牛島先輩に背を向ける。
そしてナチュラルに私の肩に腕を回してきた。
イラついたので思いきりつねった。
「いった!?」
「自業自得」
気安く触んなボケ、と敬語も使わず凄んだら、「あ、ソレ青城のエースの台詞みたい!」とニヤニヤされた。
誰か知らないし、やっぱりムカついた。
こんな人と私はマジメに話をしようとしているのか。
……茶化される気しかしない。
早くも心が折れそうになりつつも、私は昼休みが終わる前にと歩みを早めた。
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メロ - もっと読みたいですぅぅううう!!! (2019年3月2日 16時) (レス) id: 0e59c5458d (このIDを非表示/違反報告)
あぽぽ。 - 面白いです!めちゃくちゃ! (2018年2月26日 17時) (レス) id: 35969b3800 (このIDを非表示/違反報告)
お凛 - もうほんとドキドキするし、めっちゃ好きです(*´□`*)続き楽しみにしてます!!頑張ってください! (2017年8月18日 10時) (レス) id: e398a3b6ca (このIDを非表示/違反報告)
maruyamaryuh(プロフ) - 更新期待してます!! (2017年7月30日 21時) (レス) id: b5f2cd076b (このIDを非表示/違反報告)
俺の嫁は二次元(キリッ - 前作も読みました!個人的には夢主ちゃんと沙羽ちゃんの二人が好きです!可愛いですこの二人。和む(*^ω^*)更新頑張ってください! (2017年4月6日 13時) (レス) id: 3614360162 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるま | 作成日時:2017年1月23日 21時