付きまとってくる35 ページ47
それから制服姿で白布と一日遊び明かして、学校に戻ったのは結局部活の始まる放課後だった。
久しぶりにバカやったな、なんて思いながら、部活はサボれないからと先に走っていった白布の後ろ姿を見送る。
普段は真面目なのに、一体今日はどうしたんだか。
いつもの白布だったら、授業サボって遊び呆けるなんて事しないし。それは、私もそうなのだ。いつもなら、こんなこと絶対にしない。
まぁでも、たまには息抜きにこんなのもいいかもしれないと思ったのも事実で。
でもしょっちゅうは出来ないなぁ。できっこない、こんなこと。
………まぁ、白布も私も上っ面だけはいいから、言い訳なんかはどうにでもなるんだろうけど。
__陸上部の部員が脇を駆け抜けていく。
ふわ、と髪を揺らす風に目を細め、私は校舎に足を踏み入れる。
本当なら街でそのまま白布と別れてもよかったのだけど、生憎そうもいかなかったのだ。
……昨日から、荷物が学校に置きっぱなしだから。
『俺、割と本気だよ?』
「!」
頭の中を過った光景を掻き消して、私は足早に本校舎の渡り廊下が繋ぐ別館へと急ぐ。
部活に行こうとして天童先輩に絡まれて、そんでそのまま鞄も全部放り出して帰っちゃったから………
……あぁくそ、思い出すな。
瞼の裏に、特徴的な赤髪が何度かちらついた気がしたけど無視した。
無駄な事なんか考えなくていい。そう、考えなくていいんだ。
ガラ、とアトリエの隣の空き教室の扉を開ける。
柔らかい西日が照らす室内。
その壁際に、私の鞄は放り出されていた。
__その位置が、嫌でもあの時の事を思い出させる。
『逃げんな』
「っ……ぁあもう」
まただ。
余計な事を考えようとする思考を無理矢理に打ち切って、私は頭を振った。
そうすれば、雑念みたいなものがどっかに飛んでいってくれるんじゃないかな、とか思ったり。
(……ていうか届けてくれてもいいじゃん)
……まぁ、顔は合わせたくないんだけど。
そんな矛盾した事を考えながら、鞄がちゃんとそこにあったことに安堵して。
鞄を拾い上げた、その時。
「…………ん、……あれ、軽い……」
妙に、軽い。
こんなに軽かった?
そんなはずない。だって、この中にはカメラとかスケッチブックとか、
……あ?
「………は?え、………うわ、ちょ……!」
………嘘。
カメラが、無い。
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美島 - さとりん好きすぎな自分にとってサイコーの癒しです。 (2019年2月14日 23時) (レス) id: 93c27981be (このIDを非表示/違反報告)
友菜 - 親に内緒でスマホ弄ってたけど笑い堪えるの大変だった (2018年11月4日 16時) (レス) id: bdd3fb14b0 (このIDを非表示/違反報告)
千弘(プロフ) - 今読み終わりました!!白布とサトリンのバチバチ感?とかわんちゃんとの絡みとかめっちゃ好きです!!続編も楽しみです!! (2018年1月14日 14時) (レス) id: 99ade87467 (このIDを非表示/違反報告)
俺の嫁は二次元(キリッ - まだ読んでないけど『毒舌冷淡女子VSゴキブリメンタル男子』であ、これ面白いな。((確信))てなった。 (2017年4月3日 8時) (レス) id: 3614360162 (このIDを非表示/違反報告)
あるま(プロフ) - ハクア@受験生だよ辛い…;;さん» うぁああ、ありがとうございます!お陰さまで続編突入です、頑張ります!!(*´∀`) (2017年1月23日 21時) (レス) id: acdd73370f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるま | 作成日時:2016年11月12日 20時