付きまとわれてんじゃねーよ3 ページ41
自分の声が、思った以上に刺々しくて驚く。
自分でも、今自分がどんな顔をしているか分からなくて少し気持ち悪かった。
天童さんは至っていつものように「あ、賢二郎じゃーん」と悪びれもせずに俺に駆け寄ってくる。
俺は一歩身を引きながら、素っ気なく答えた。
「部活集合、5分前切ってます。早く来てください」
「アリャ!そだった、俺としたことがすっかり忘れちゃってたヨ〜」
おどけたようにそう言って駆け出す天童さん。その足取りは軽い。
隣に並んで走りながら、俺はなるべく平静を装って尋ねた。
「こんな所で、何してたんですか?」
ここにはアトリエくらいしかないですよ、と、これは少し鎌をかけて。
天童さんは横目で俺を見ながら、「チョットお話」と意味深に答えた。
腹が立つ位に、他人に自分のあれそれを深く覚らせない人だ。いい意味でも、悪い意味でも。
「………Aとですか?」
「オッ、勘がいいね賢二郎!」
「茶化さないで下さい。
天童さんがくる前、アイツが中から出てきたんです」
「フゥーン」
今この人がどういう心情なのか、さっぱり検討もつかない。つかないけれど、その横顔はどこかこの状況を面白がっているように見えて。
無性に腹が立った。
「……多分アイツ、怒ってましたよ」
「……」
「何か、したんですか」
天童さんは何も言わない。
もう体育館は目の前だ。既に部員は集まっている。
練習を始める前に何とか事情を聞き出そうと、再び口を開く。
「!」
しかし、それを天童さんが遮った。
俺のジャージの裾を引いて、____丁度体育館の中から死角になる場所。
そこに俺を引っ張りこんで、どこまでも底意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「お前にゃ関係ナイよ。
………過保護な幼馴染みクン」
挑発的な言い方と視線。
小さく低められたその声は、相変わらずどこまでも愉しげだった。
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美島 - さとりん好きすぎな自分にとってサイコーの癒しです。 (2019年2月14日 23時) (レス) id: 93c27981be (このIDを非表示/違反報告)
友菜 - 親に内緒でスマホ弄ってたけど笑い堪えるの大変だった (2018年11月4日 16時) (レス) id: bdd3fb14b0 (このIDを非表示/違反報告)
千弘(プロフ) - 今読み終わりました!!白布とサトリンのバチバチ感?とかわんちゃんとの絡みとかめっちゃ好きです!!続編も楽しみです!! (2018年1月14日 14時) (レス) id: 99ade87467 (このIDを非表示/違反報告)
俺の嫁は二次元(キリッ - まだ読んでないけど『毒舌冷淡女子VSゴキブリメンタル男子』であ、これ面白いな。((確信))てなった。 (2017年4月3日 8時) (レス) id: 3614360162 (このIDを非表示/違反報告)
あるま(プロフ) - ハクア@受験生だよ辛い…;;さん» うぁああ、ありがとうございます!お陰さまで続編突入です、頑張ります!!(*´∀`) (2017年1月23日 21時) (レス) id: acdd73370f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるま | 作成日時:2016年11月12日 20時