付きまとってくる26 ページ31
「あーッしたァーッ!!」
八時を回った頃。
部活はようやく終わって、私は顔を上げた。
最初は夢中になって見てたけど、だんだん飽きてきて途中からずっと絵描いてたんだよな。
わんちゃんは、せっかく来たなら見ろよと不満げだったけど。
エンピツやら何やらで散らかしてしまった通路を片付けていると、不意ににゅっと影が私に被さった。
「?」
顔を上げれば、そこには白布が立っていて。
どしたの、と声を掛けると、後でちょっとだけいい、と無愛想に言われた。
それから私の反応を待つこともしないで、スタスタと下に下りてネットを片付け出してしまった。
(何だよ………)
「佐々木!あたし帰るけど、一緒に帰るかー?」
「や、……もちっと残ってく」
「んだよ、連れねーの」
じゃーまた明日、とわんちゃんに手を振って、私達は別れた。
………白布、待ってないとな。
_______
___
……
「で?何?」
「……」
二十分くらい待って、ようやく白布は体育館から出てきた。
白布は寮生だからいいかもだけど、私は家から通ってるんだからな。早く帰りたいの。
そう急かせば、白布はイラついたようにガリガリと頭をかいて私を睨むように見つめた。
(怒ってんの……?)
訳分かんない。
「お前さ」
「はぁ」
「………もっとさ、……天童さんの事警戒しろよな」
「は?」
薄暗がりで、白布の表情はよく見えない。
だから今、白布がどんな心情でそんな事を言っているのか、私には分からなかった。
「警戒って……ヘンだけど悪い人じゃないし。警戒とか…」
「……んな事言ってるからあぁやって簡単にキスとかされんの」
「…………それ今関係ある?」
「ある。大アリ」
剣呑さを帯びる白布の声。さっきから不信感しか白布に対して募らない。
「あれは、別に私は気にしてない。父さんにも小さい頃されまくってたし」
わんちゃんにも言ったことを言うと、白布はそれまで少し俯かせ気味だった顔を上げた。
相変わらずその表情は分からない。
「じゃあお前さは」
じゃり、と地面と靴とが擦れる音。
「俺に同じ事されて、おんなじ事言えんの?」
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美島 - さとりん好きすぎな自分にとってサイコーの癒しです。 (2019年2月14日 23時) (レス) id: 93c27981be (このIDを非表示/違反報告)
友菜 - 親に内緒でスマホ弄ってたけど笑い堪えるの大変だった (2018年11月4日 16時) (レス) id: bdd3fb14b0 (このIDを非表示/違反報告)
千弘(プロフ) - 今読み終わりました!!白布とサトリンのバチバチ感?とかわんちゃんとの絡みとかめっちゃ好きです!!続編も楽しみです!! (2018年1月14日 14時) (レス) id: 99ade87467 (このIDを非表示/違反報告)
俺の嫁は二次元(キリッ - まだ読んでないけど『毒舌冷淡女子VSゴキブリメンタル男子』であ、これ面白いな。((確信))てなった。 (2017年4月3日 8時) (レス) id: 3614360162 (このIDを非表示/違反報告)
あるま(プロフ) - ハクア@受験生だよ辛い…;;さん» うぁああ、ありがとうございます!お陰さまで続編突入です、頑張ります!!(*´∀`) (2017年1月23日 21時) (レス) id: acdd73370f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるま | 作成日時:2016年11月12日 20時