不思議な恋のアリス (ページ1)

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アリスは知らない。ページ1

君は笑いながら僕の頭を撫でた。

ー可愛い猫ね。名前は？

ーニャ？

僕はまだ小さくて弱かった。

いつか大きくなって、強くなったら、君に会いにいくよ。

ーーー

僕は僕のことを何も知らない。

どこで生まれたのか。どこに住んでたのか。
家族はいたのか。

何も知らない。ただ分かってるのは…

「やぁ、アリス。元気かい？」

物心ついたときから
ー不思議の国にいたこと。

「僕のこと、アリスって呼ばないでよね。男装の意味ないじゃんか。」

「クククッ…ごめんごめん♪」

僕はリア、みんなアリスアリスいってきて、よくプロポーズとかされてた。鬱陶しくなったから、とりあえず男装をはじめたんだ。

そしたら…うん。まぁまぁ効果はあった。

金髪は黒に染めたし、長い髪は細く一本にしばったし、服もズボンにしてるし、口調も変えた。

けど…チェシャ猫はアリスっていってくる。

チェシャ猫…本名は知らない。正直こいつのことは何も知らない。

男子高校生がコスプレして耳と尻尾をつけてるみたいな感じだ。

この世界には高校なんて、ないけど。

今日も暇潰しに森を散歩しようと思ってる。

「散歩してくるー。」

僕はゆっくり歩き出した。