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『 Dcw 3 』 ページ5

――『桜』

白い桜が咲いていた。綺麗で純白の桜。
私はその白桜にそっ……と触れてみる。
ひんやりとした冷たい肌触り、けど、どこはかと安らぎを感じる白桜の木。

『ねぇ、なんで、貴方は真っ白な花びらを
咲かせているの?』

木に話しかけるなんてどうかしている………。
自分でも思う、だけど、ここは夢の中だ。
だって、夢でしか有り得ない……こんな真っ白な
桜の花びらを咲かせる桜の木があるなんて、〈現実〉では絶対に有り得ない事だ。

〈現実〉で木は喋りかけたりしてこないからだ

―《それは、君の心が真っ白だから。
君は無欲だな。自分の幸せより相手の幸せを取るなんて……健気で馬鹿で真っ直ぐだ。》

『すごく、馬鹿にされた感があります。』

―《はははっ……そこだけは許してヨ…。
君が今思ってる事を”代弁”してあげたんだ。》

純白の桜は子供の様な笑い方でケラケラと笑った。自分の心を凄く見透かしてくる。

―《君は………もし、愛しい人と戦う事になったらどうする?》

急に真剣な声で聞く桜の木。
ザワザワと鳴り響く木の枝と枝。

『なんで、そんな事を聞くんですか?』

そう言うと純白の桜は興味深そうに答えた。

―《君には”必要”な事だから。
君は気付く時が来るだろう……幸せな時間ほど
脆くて崩れそうな物は無いと言う事に。

「彼」だって同じ事だ……。
幸せな者を守り過ぎると”破滅”を呼ぶって……

君達程、哀れで、悲しくて、切ないモノ達は
そう居ないだろうね。》

薄く消えて行く、純白の桜。
私は金縛りにあった様に、呆然と立ち竦んだ。

この純白の桜は何を言っているんだ?
きっと、この桜は私が辿る「運命」を知っている。
逆に言えば、「彼」の「運命」も知っている。
そんな感じが脳裏に浮かんだ。

悔しい。………
何やら私の中でそんな感情が芽生えた。
哀れで、悲しくて、切ないモノ達?
もし、愛しい人と戦う事になったらどうする?

決まってる。
私は一呼吸すると、純白の桜を睨み付けた。

『いいか、そこの桜!
そんなのが「彼」と「私」の運命だったら……
そんなの、めちゃくちゃに

壊してやるっ!!』

そう言うと純白の桜の中から日本が飛び出し
私の目の前の地面に突き刺さった。

もう、純白の桜は消えてしまったが
何故か最後・・・…………





桜が笑った様な気がした……________。

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作者名:水狼 x他1人 | 作成日時:2015年5月27日 9時

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