【D.gray-man】白桜の如く ― 己の道を歩む者 ―

『 ningyou １８ 』 ページ21

――『人形』

昔々、マウステール街に仲むつまじい夫婦が
居られました。
夫婦は何処に行くのも一緒で……見ていて
微笑ましい雰囲気を身にまとった感じだそうでした。

妻、メオリスは容姿端麗で誠実で優しく
誰からも好かれる存在でした。

斯く言う、夫は

気弱で内気で不器用で
あまり人から好かれる存在ではありませんでした。

そんな二人がある日、一緒に散歩をしたそうです。空は目眩がするぐらいの晴天。
道には綺麗な華が咲まるで、新しい夫婦を迎え入れているようでした。

そんなある日、【不幸】が起きました。

突然、夫のキドの頭から鮮血の血が吹き荒れたのです。死因は鉄砲でした。

犯人は夫キドのお父さんから雇われた暗殺者でした。
後々、分かった事でしすが、夫キドは貴族の血筋でした。
窮屈な城から逃げ出した者だったようです。
そんな裏切り者が幸せになる事が許せなかった……それが、殺した動機だったそうです。

妻は泣きました。神を呪いました。
運命を恨みました。人間に殺意を向けました。

(くそっ！恨んでやる！殺してやる！全てを壊してやる！！神よ！何故、夫を殺したのか！
恨んでやる！殺してやる！消してやる！)

泣いて、泣いて、泣いて、喉が潰れるまで
泣きました。斧を振り回しました。


まるで、その姿は主人を失った
狂った〈人形〉の様でした……＿＿＿＿＿＿。


めでたし。めでたし。


「蘇らせてあげましょうか？愛しい花婿を♥」

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