『 kanasiimaturo １７ 』 ページ20
――『悲しい末路』
「それ、あげましょうか？」
え？と私は驚いた目でおばあさんを見た。
おばあさんは悲しい目付きでガラス窓の向こうに飾られてある布を数分見つめ、ドアを開けた。軽く、手招きされる。
『………。』
私は恐る恐る店に入って行く。
そして、驚きの声を上げた。
中は紅色、黒色、灰色、黄色、紫色など、色々な色が店中に広がっている。
『うわぁ……スゴい…虹の中にいるみたい。』
私は普通の女の子の様にきゃ、きゃ、と
騒いだ。
すると、ある事に気がついた。
虹の様な布を通り過ぎると、ある、寂しげな
闇に飲まれそうなドアを見つけた。
そのドアの斜め横にはイスが置いてあり、その
イスの上には食事が置いてある。
『(誰か、この中にいるのかな……？)』
パタパタと羽で宙を飛び回っているティムキャンピーの存在を感じながら、そんな事を考えた。すると、おばあさんが近づいて来た。
そのおばあさんに問う。
『すいません。この部屋って誰か居るんですか？』
「……あぁ、居るよ。
もう一年も外に出て来てないけどねぇ。」
その悲し気な声を聞き、私は何故かこの扉の
中にいる人が凄く気になった。
だから、無神経でもおばあさんに聞いてみた…
これ以上、こんなに、優しそうなおばあさんの顔を曇らしたくなかったからだ。
『あの、その理由って聞いてもいいんでしょうか？』
そう言うとおばあさんは軽く俯いた。
私はやはり、無神経な事を聞いてしまったと
思い、謝ろうとしたが、おばあさんの声で遮られた。
「いいよ。でも、お話が長いから……座ってお話をしましょ。」
そう言って、おばあさんの部屋であろう所に
案内された。
中は、失礼な話し殺風景だった。
一つのベットにクーローゼットと棚、その棚の
上には写真が数枚飾られてある。
それは、嬉しそうに笑う。
三十路であろう男性とおばあさんと凄く綺麗女性三人が笑顔い合っていた写真だった。
その写真を見ていると、コーヒーを持ってきた
おばあさんが部屋に入って、ローテーブルの上に私の分とおばあさんの分を置いた。
おばあさんは「座っていいわよ。」と言う。
私は椅子を引き、腰を落とし、【氷華】を机に
立てかけた。
”( sala sanninni okotta kanasiimaturo ohanasiwo hazimeyou)”
さぁ、三人に起こった悲しい末路のお話を
始めよう……＿＿＿＿＿＿＿＿＿。
『 ningyou １８ 』→←『 leisurely stroll １６ 』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水狼 x他1人 | 作成日時：2015年5月27日 9時
