『 Important mono １０ 』 ページ13
――『大事な物』
凍てついた空気。最悪な雰囲気。
そして、私のおっせかいから始まった口論。
でも、何処か罪悪感は無かった。
もう、嫌だったから……もう、あんな思いをするのは。
そう、考えていると……アレンは口を開いた。
「だったら、僕も”犠牲”になります。
ただあの人達は自分達の望む最後を迎えたがっているだけなんです！
……それまで、この人形からイノセンスは取りません！
僕が……AKUNAを破壊すれば問題ないでしょ！？」
神田は抜刀している、刀を鞘に収めた。
もう、コイツ等に何を言ってもダメだと、考えて呆れたのか……はたまた、怒りがピークになったのかは分からないが眉間の皺が少し広がった様な気がした。
すると、神田は冷めた目で私達を見た。
「とんだ、甘ちゃん共だな………。
可哀想なら自分の命を投げ出すってか？
しかも、お前……」
そう言って、私の方に目線を向けた。
「トリップ？違う次元から来た？
ご苦労な事だな……来た瞬間から人助けかよ？
………お前等には大切な物がねぇのかよ！！！」
アレンは俯く。私も俯く。
大事な物。………そんなのもう無い。
いや、生きているかどうかも分からない。
私は何を言っていいのか分からず口を噤む。
すると、アレンが静かな声で言った。
「大事な物は……昔 失くした。
可哀想とかそんなキレイな理由 あんま持ってないよ。
自分がただ、そう言うのを見たくないだけだ
僕はちっぽけな人間だから
大きい世界より目の前の物に心が向く……切り捨てられません」
その、小さなくっきりとした声が何故だか
私が探していた”答え”の様な気がした。
自然に涙が頬に伝う。
「守れるなら守りたい！！！」
―ドクンっ！と心臓が高鳴った瞬間………。
刹那、ドスっと肉が張り裂ける音がする。
『えっ………………？』
神様は本当にいるのだろうか？
もし、これが神様の筋書きなら本当に
『グゾル！！！！ララ！！！！！』
壊してやりたい………＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。
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作者名：水狼 x他1人 | 作成日時：2015年5月27日 9時
