なにわのシンデレラガール 1

〇 ページ29

また、小説に目を移す。

駿佑は、机に伏せて寝始めた。

水の入ったコップをこぼさないように、
駿佑から少し離れたところに移し、小説を熟読する。


道「ねぇ、それ、次の映画のやつなん？」


数分経って起きたのか、暇そうに話しかけてくる。

「うん、そうやで」


道「そっか」



また数分黙って


道「誰と一緒にやるの？」


「まだ聞けてないんだよね、未定」


道「そっか」


「うん」

それから、数分に一回話しかけてくるから、
お話ししたいのかなって察して、小説を閉じた。

道「ねぇ、」



「ん？」


道「キスシーンあるの？」


「んー。あるかもとは言われてる。
小説にもそういう描写があったし、たぶん」


道「そっか、」


そういって私の手を取って悲しそうな顔をする。
嫉妬してる？

「どうしたの？」

道「大吾君が、この小説読んだって言っててさ
内容教えてもらったんだけど、ちょっと心配でさ、」


大丈夫だよ、私は駿佑が好きなんだから。
心配することなんて何にもない。
そう言いたかったけど、気持ちを伝えることが苦手な私は
ストレートな言葉が出てこない。


「心配ないよ、私の彼氏は駿佑でしょ？」


道「でも、、」


駿佑が何か言いかけたとき楽屋のドアが開いて、
撮影の番だとスタッフさんが伝えに来てくれた。

道「いこっか」


優しく笑う彼の表情はやっぱり悲しそうだった

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