IV - 006 幼児のように素直に受け入れる ページ28
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あれはなんだったのだろう。鱗滝と義勇と錆兎から心配されては手当をされながら考えるA。
あの日、あの時。確かに全集中の呼吸を使っていた。呼吸については鱗滝から聞いていたので身体が軽くなった時は上手くそれを使えるようになったのだと思ったが、刹那の如く脳裏に広がったあの文字の羅列。あれだけは疑問だった。
まるで未来を告げるような、警告するような文字がどこからともなく浮かび上がり、そして己が血を吐き出す映像が過ぎったり、転がる姿が視えたりと、割と気分が悪くなるものも見せられた。まるで予知夢のような。
あの時はおびただしい文字の中から手探りで、なんとか役に立ちそうな数十文字を読み込み飲み込みその通り動いて助かったわけだが、恐ろしかった。
何せ己が死ぬ
「未来を知る呼吸？」
「はい。丸太等に襲われていた時に浮かんだのです。頭の中に文字が、世界中の文書を寄せ集めたような数億という文字たちが。これはそういった呼吸ではないでしょうか、父さんはこのような呼吸を扱う剣士を知っておられますか？」
「…………。いや、知らない」
ひょ。と思わず目を丸める。
鱗滝ですら知らない呼吸とは一体なんだ。と疑問を通り越して違和感が湧いて出てくる。
うーうーと顎に手を当てて悩んでいたら「もしかしたら、」と鱗滝に声をかけられた。
「窮地に立たされたが為に編み出されたA独自の呼吸なのかもしれない」
「……私独自の？」
呼吸には派生元があるのでは、と問いかけたところで鱗滝が立ち上がり例の棚を漁り出した。Aが丁度不可抗力で目を通してしまった書物を手にとり、改めてAの隣に腰を下ろす。
目当ての頁をぱっと開き骨ばった指で右頁の中央あたりをさした。
「これだ。派生したとすればこの呼吸が元だろう」
そこには──＊＊の呼吸と記されていた。
＊＊の部分は掠れていて読めなかった。つまり結局なんの呼吸かわからなかった。Aは困惑した顔を鱗滝に向けた。
「読めないな。儂も読めん。知らんのだ。この呼吸だけは今も尚謎に包まれている。"始まりの呼吸"が明るみになってもこれだけは……長きに渡り沈黙を貫いている」
ただ──と逆説した鱗滝の横顔をAは凝視した。
鱗滝の指が色褪せたいつの時代の文字かもわからない一行をなぞる。
「この呼吸の使い手は赤みがかった髪をしており、おそらく赫灼の子だったと思われる」
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
