�� - 002 欲しいものをあきらめるな ページ16
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錆兎は戸惑っていた。真っ直ぐにも程のある宝石のような瞳に正面から見つめられ逃げ場が無い。己を救ける為に傷ついたと言うのにただひたすら己をあんじてくる、このAという年上の子供。
男であるなら強く在れ。それが錆兎少年の座右の銘だった。それがこんな。自分より身長こそ高いものの自分より遥かに細い子供にああまで身を呈して護られるとは思わなかった。それにあの時は初対面も初対面。錆兎は倒れるAを見て誓っていた。
この人は俺が護らないとだめだ。と。
「そうか。防衛手段を身につけようとする努力は素晴らしいと思う。それも毎日早起きして励んでいたんだな。凄いぞ。錆兎。偉い偉い」
むず痒くて仕方ない。
護ろうと誓った相手から褒めちぎられる。頭を撫でられる。棒切れを握る手が震えた。羞恥で。
義勇だけが頬をほんのり赤らめて肩を震わせる錆兎に気づいていた。恥ずかしいんだなと思った。でも空気を読んで黙っていた。微笑ましくて無意識にニマニマしていた。
「良ければ私にも教えてくれないだろうか」
「え？」
突拍子のない申し出に錆兎は目を丸める。
Aは目を細めて義勇の肩に手を置くと、優しく身体を寄せて諭すように微笑んだ。
「義勇も私も君と同じなんだ。否。私は少し特殊とは言えるが。この子は強くなりたいと思っている。私もだ。大切なものを護りたいという気持ちが強い。この所は特に。君をあの時華麗に救ってやる事が叶わなくて、私は眠っている間も悔いていた」
義勇も錆兎も驚きから動けなくなっていた。義勇は自分の心中を知られていたことを。錆兎はまだまだAが己をあんじていたことを知り。
今までこういった愚直ともとれる優しさに触れた事が無かった。だから身体のどことも分からないところが痒くなって頬が熱くなる。錆兎はとっても困った。
自分とほぼ同じくらいの背丈の少年と目が合うとはにかまれてしまい、また照れ臭くなる。
「ああ。勿論──A。義勇」
錆兎はしぼり出した。久し振りに感ぜることの出来た人の温もり。陽だまりのような優しさにが胸に沁みて本当は少し涙ぐみそうだった。けれど必死にそれも堪えて、二人に握手を求めた。
名前を呼ばれた事がどれ程嬉しかったのか二人は顔を見合わせて笑い合った。Aは義勇の肩をぽんぽんと叩いていた。
「よろしく。錆兎」
「よろしくね。錆兎」
名前を呼ばれるというのはこんなにも暖かくなるものだったろうか。錆兎は笑った。
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
