�� - 007 求めない人はしあわせだ ページ14
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鱗滝左近次は目を深く閉じ、しかし穏やかな呼吸を繰り返すAの寝顔を見やった。貧困層の集まる町に宍色の髪の少年を求め出たはいいものの、Aを連れて行くべきでは無かったと激しく悔いた。それから勿論義勇も。
ようやく喧嘩を諌めた自分の元に号泣も号泣で「Aがいなくなっちゃったよぉ！」と走ってきた義勇は今にも絶望しそうな位涙に暗闇を滲ませていた。
彼の言う通りAが消えて行ったという人気の無い路地を走った。すると横たわるAと、そんなAを抱き締める宍色の髪の少年と、興奮冷めやらぬ真っ赤な顔の小汚い男が立っていたのだった。
鱗滝はすぐさま男を制圧しに、義勇はまた涙を流してAに駆け寄った。
包帯とは反対の頬を腫らしたAを背負って、至極気まずそうな宍色の髪の少年を招き、泣いてばかりの義勇をなんとか引っ張り帰宅したが、が。
布団にAを寝かしてからというもの義勇も宍色の髪の少年も傍らから一寸も離れようとしない。
「もう寝なさい。時間も遅い」
浮かない顔でAの寝顔を見つめる二人にそう言った。だが二人ともふるふると無言で頭をふる。
鱗滝はどうしたものかと息をついた。
ふと水面のような香りが鼻に触れた。視線を移すとAの瞼がおもむろに開くところだった。
「A！」
義勇が真っ先に飛び上がりAの顔に自分の顔を寄せる。宍色の少年もはっと肩を上げて義勇と同じように身を寄せた。
「……義勇？ 君。嗚呼……無事だったか」
まだ完全に開いていない瞳を優しく和らげて微笑むAの額を鱗滝は「この馬鹿者」と小突いた。
義勇はAの首に抱きつきわんわんと声をあげて泣く。宍色の少年はなおも自分をあんじるAの態度が苦しかったのか眉を下げて唇を結んでいる。
「分別と判断をと言ったはずだ」
「……言いました」
「何故一人で向かった。儂に頼らなかった」
「頼るとは、なんですか？ 鱗滝さんに負担をかける事に繋がるならば私は」
「負担などではない」
鱗滝は少し語尾を強めて断言した。
Aがきゅ。と目を見張る。
「A。お前の味方はここにいる。お前を大切に思う家族がここにいる。もう二度と家族を失いたくないと思う者たちがここにいる。手を伸ばしていい。抱え込みしゃがみこむことはない。頼れ。泣きついていいんだ」
Aには難しい言葉だった。よく理解は出来ないけれど胸はとても熱かった。とにかく、はい。と返した。
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
