�� - 003 ものごとに執着するな ページ33
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朝起きると頬に陽が当たっていた。Aはゆっくり身体を起こす。くぁ、と年相応の欠伸が漏れる。錆兎も義勇もまだ眠っている。と思いきや布団すら畳まれていた。
Aは一瞬寝坊したのかと思ったが格子から零れる日光を見るにまだ朝も早い。すぐに布団を畳んで昨夜鱗滝が用意してくれた雲柄の着流しに腕を通した。
囲炉裏のある部屋に出ると見慣れた背中がひとつ。
「おはようございます」
「おはよう。A」
振り返りつつ挨拶を返してくれた鱗滝。に、いつも通り微笑みを返そうとしたが無理だった。思わず表情がかたまる。
鱗滝の素顔が──Aに笑いかけていた。
「父さん、いつもの天狗のお面は」
「今は不要だ。外している」
「不要……、それは」
出かかった言葉を飲み込む。なんだか恥ずかしくなったのと嬉しさが満たされて胸がいっぱいになったのが重なった。胸に手を当てて鱗滝から目を逸らす。あまりにも優しい表情に狼狽えてしまった。
気にならなかった訳では無い。実はずぅッと父さんはどんな顔をしているのだろうと興味を抱いてはいた。
どんな言葉を返せば適切かと探っていたら鱗滝が歩み寄ってきた。は、と瞼を上げるとお面があった。
天狗ではない、狐の顔をしたお面。口許を優しく和らげた少しタレ目の狐だ。耳にはAが常に着けている銀色のイヤリングを模しているのか線が入っており、更には左目のすぐ上にある牙の痕二つを模したように狐にも同じ場所に紅色のひし形が刻まれている。
「厄除の面だ。必ずお前を護ってくれる」
「……ありがとうございます」
Aの特徴をとらえて精巧に彫られたこのお面は紛れもなく鱗滝の手作りだった。緩みまくる口許を隠そうとしたところ入口の引き戸がばん、と開いた。
「A！」
「おはよう！」
義勇が名前を大声で、錆兎が挨拶を大声で飛ばし、Aのもとに走ってきた。
鱗滝はその隙に天狗の面を付け直していた。
「二人ともおは」
「これあげる！」
「俺がつける」
「……これは？」
錆兎に右腕を掴まれたかと思えば手首に何かを結ばれた。視線を落とすと鮮やかな紅色をした布だった。
西洋ではこれをりぼんと言う。
「頑張ってね、俺達待ってるから」
「必ず帰ってこい。俺達は一緒に鬼殺隊に入るんだ」
「そう！ 約束しよ！」
差し出された二人の小指。Aはふわりと微笑んで、義勇に右手の小指を。錆兎に左手の小指を絡めた。
「嗚呼。忘れないよ。約束だ」
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
