�� - 004 きみたちに他人を罰する資格があるのか ページ18
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Aは頭に手を当てた。そこから鱗滝の体温が放れてから数分は経過しているはずだったが、不思議と冷えてはいなかった。寧ろまだあの時の温もりが残っているようにさえ思う。
口許が解けた。自然と微笑んでいた。こんなにも嬉しいことはないと罠の数々を避けながら下山する。
これを見て分かるとおりAは類まれなる運動神経に恵まれていた。今は亡き父も体躯に愛されており骨骨のガッツリした大柄の男性だった。母も女性にしては身長が高く、手脚が長かった。そのしなやかさも何もかも、素晴らしい両親の血がこの子に継がれたのだろう。
「おかえり」
下山するとずっとそこで待っていてくれたのか錆兎が手を振って、労わってくれた。見回したが義勇の姿はなくまだ時間がかかるのかなと心の中で応援の言葉を零す。
錆兎に駆け寄り「ただいま」と笑い返した。出迎えがあまりに嬉しくてその手を握ってしまったのは勢いという他ない。
それでも錆兎は頬を少し赤らめるだけで嫌がる素振りなどはなく、ただ華やかに微笑んでくれた。Aは胸がいっぱいになるのを感じてまた目を細めた。
「義勇はまだだ。少し時間がかかるのかもしれない」
「嗚呼、そうだな。錆兎はずっとここにいたのか？」
「そうだ」
「待っていてくれたのか？」
「そ……そう、だな」
Aは錆兎が何故言葉を詰まらせたのかはわからなかったが、嬉しくてたまらない事に変わりはなく和らいだ頬と口角がずーっと浮かべられていた。
春の訪れのような表情の数々が照れ臭いのか神秘的に思えて仕方ないのか錆兎は時々視線を足元に逃がしていた。
「っはひ、ひぃ、A……っさび」
ずだんずだんという足音と荒い呼吸にAが顔を上げた八秒後程で真っ青な顔をした義勇が現れた。足元からふらふらで今にも昏倒しそうな彼をAが咄嗟に支えに走り、錆兎がその後に続いた。
両腕で義勇を受け止めたAは汗まみれの彼の顔を覗き込む。ひぃひぃと息をしつつも途中で挫けたりなどせずちゃんと帰ってきてくれた。戻って来てくれた。それが嬉しくて頼もしくて、義勇の頭を撫でた。
「おかえり義勇。頑張ったな」
「う、ん、Aも頑張った……」
へらりと微笑む義勇。幸福が頂点に達したのか無言で義勇を抱き締めるA。
周囲まで幸せにするような仲の睦まじさに錆兎もまた笑顔を崩さなかった。この時がずっと続いてくれたらいいな。なんて木々の隙間から覗く空を見上げた。
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
