�� - 004 隠し事をやめれば、人が恐くなくなる ページ11
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「鱗滝さん……」
男二人の肩を押し離しては割って入る鱗滝の背中に義勇は呟いた。Aにちらりと視線をやれば自分と同じような顔をして突っ立っていた。自分が。自分が。と決めていたところをまさか肩代わりされてしまうとは、思いもよらなかったのだろう。
滅多に笑みを解くことの無いAが今は初めて母親に抱き締められた迷い子のような目をしていた。
義勇はそんな年相応の表情に安堵を覚えた。心の中で「もう少し恐くなっていいんだよ、A」と唱える。就寝前いつもAがおまじないを唱えてくれるように。
「……い……ろ……！」
呆然真っ只中だったAの耳に、目の前の口論とは異なった棘と針でいっぱいの怒号が僅かに触れた。
「A？ どうしたの？」
「向こうの方から少年の声が」
義勇が首を傾げるより早くAは走り出した。
「あっ、まっ待ってA！」と手を伸ばすも空ぶった義勇は膝からよろめき地面とぶつかりそうになる。
後ろを顧みてAは「すまない。鱗滝さんの近くにいてくれ。義勇」と言って壁の薄い家屋と家屋の隙間に入って行ってしまった。
突然失われた温もりとやっぱりどうしようもないAの聖人ぶりに義勇はたちまち悲しくなって、鼻の奥が熱くなって、人目も気にせず二粒程の涙を垂らしてしまった。
「子供だからと甘えるな！」
「甘えなどではない！」
義勇を一人にしたことを全く悔やまないわけではなかった。それでも耳を通った怒号と幼子らしき反抗の声に駆けつけ無い、という選択はどうしても出来なかった。
細い道を出ると塀と裏口二軒に囲まれた小さな空間があった。そこで少年を押し倒し、真っ赤な顔で何かに腹を立てているのが無精髭の男。小太りの彼は宍色の少年の胸ぐらを、必要以上に握り締めていた。
宍色───。Aは駆け寄った。
「待て！ やめないか！」
男が何で怒っているか、事情など一切知りもしない余所者が振り上げられた腕をかき抱くように阻んだ。
目を丸めた少年の視線がAの頬に突き刺さる。驚愕の顔で、小綺麗な着物を身にまとっているのを認識した彼はより訳が分からないというふうに唇を結んだ。この町のよそ者どころか、この町以外のよそ者が自分を助けに入ったのだ。とても理解が追い付かなかった。
「っ何だ、童！ 邪魔ァするな！」
「貴方が組み敷いているのは幼子だ！ よく見てくれ！ 腕をおさめ、冷静になって欲しい、頼む……！」
懇願していた。
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
