取り込めないあなたの味1 ページ8
「今日は服も買えたし満足…」
ポアロで安室さんと仲良く(？)なれて2日後。
ショッピングにも行けて嬉しい。
「あ…でも自炊…」
毎日外食するわけにも行かないし、食材も買わなければ。
また外に出ないと行けないのか、とため息をついた。
スーパー独特の寒さがあまり好きではないんですよね。
腕をさすりながら適当に食材をカゴに放り投げる。
「こんにちは」
ぽんっと肩を叩かれびっくりして振り向く。
「あ、びっくりさせる気はなかったんですけど」
くすくすと笑う安室さんがいた。
「安室さん…ビックリしました。こんにちは」
スーパーのカゴを持つ安室さんは完全な主夫だ。
「Aさんは食材買いですか？」
「そんなところです。安室さんも？」
「僕はポアロの買い出しですね。よろしければAさんの買い物に付き合いたいのですが…」
え？
安室さんの前でカップラーメンとか買えない…。
「お願いします、Aさんのことよく知りたいんです」
私の食べるものを知ってどうするのだろうか…
だがここまで言われたら断れない
「良いですけどそんな長く居ませんよ？」
安室さんは嬉しそうに笑った。
それからスーパーを雑談しながら回っているとお酒のコーナーにたどり着いた。
「お酒…Aさんは強いほうですか？」
「いえまったく！すぐ顔赤くなったりしちゃって…でもたまに飲みます」
馬鹿みたいにお酒に弱いのに、たまに飲んでしまう。
とくに美味しいとも感じないがなぜか好きなんだ。
「安室さんは最近お酒飲みました？」
「んー最近は飲んでませんねぇ」
困ったように安室さんは笑った。
「私は最近バーボン･ウィスキーを…」
あっ、と声が出そうになった。
思い出した
トリップする前に飲んだんだ
お酒で頭が痛くなって、いつの間にか寝てしまって…
気づいたらこの世界にいる
原因はあのお酒ということになるのだろうか
「…バーボン？」
安室さんは驚いたように聞き返してきた。
安室さんの前では言わないほうがよかったことを今更気づく
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作者名：ねむ | 作成日時：2018年4月18日 23時
